2005 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疲労の発生,進展,回復時における睡眠・覚醒条件に関する研究
Project/Area Number |
16614013
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
佐々木 司 (財)労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (10260134)
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Keywords | 慢性疲労 / 睡眠-覚醒リズム / 半構造化面接 / 過労死 / 過労自死 / 過労障害 / retrospective研究 |
Research Abstract |
過労死家族の会、労働組合などから紹介を受けた過労死7事例、過労自死9事例、過労障害4事例、慢性的うつ病1事例に罹災・罹患した本人、または家族に対して、1回90分間の半構造化面接を2回実施し、罹災・罹患前の慢性疲労条件、および慢性疲労状態を発生1年に遡ってretrospectiveに聴取した。またこれらの事例が係争中の場合は、裁判所や労働基準監督署に提出した資料を収集した。 その結果、これらの疾病前の慢性疲労状態・条件として、退職希求を伴うほどの疲労困憊・労働意欲の低下、著しい感情の起伏が聴取された。また21事例中12事例が長時間労働中の発症ではなく、長時間労働後の休息機会における発症を占めたことが特徴であった。 慢性疲労発生から進展時の睡眠条件では、睡眠時間の短縮が継続し、睡眠圧が強い状態にも係らず、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒の睡眠障害が生じていたことが、過労死(脳・心臓疾患)、過労自死(精神疾患)に係らず共通していたことが特徴であった。ただし、具体的な睡眠時間の短縮期間については、面接対象者の記憶に曖昧さのために、明確にすることができなかった。睡眠障害の変化については、まず入眠困難が生じ、次に中途覚醒もしくは早朝覚醒が生じる事例が多くを占めた。また覚醒条件においては、被災者の家族からは聴取できなかったが、過労障害を生じた被災者4名からは、睡眠短縮が生じているにもかかわらず日中に著しい眠気が生じることはなかったことが共通して得られた。ただし休日においては、一日中臥位状態で睡眠をとっていることが多く、その睡眠の特徴としては、著しい「いびき」を伴う睡眠であることが共通していた。これらの関係を現在、解析中である。
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