Research Abstract |
遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病:hereditary hemorrhagic telangiectasia ; HHT)は,1)遺伝的発生,2)皮膚、粘膜,内臓の多発性末梢血管拡張,3)各部位からの反復する出血を3主徴とする疾患である.本症は,末梢血管拡張あるいはその部位からの出血が種々の臓器に出現する,いわゆる多臓器疾患であるために臨床症状が極めて多岐にわたり,患者は内科のみならず,外科,耳鼻咽喉科,皮膚科,歯科など極めて多くの科を初診する,さらに,合併する脳動静脈奇形あるいは,肺動静脈奇形により時に致死的となることも希ではない.本研究は,日本におけるHHTの発生頻度、罹病率について遺伝疫学的に検討を行い,本疾患による合併症の予防,治療を呼吸リハビリテーションという観点から考案し,さらに将来的には遺伝子治療の足がかりを探ろうとするものである. 今年度は,HHTの患者の発見に尽くした.その結果,多発性肝膿瘍,脳膿瘍で発症した肺動静脈奇形を合併する男性症例を発見した(小熊,石田).本例では,妹および妹の子二人にも臨床的に鼻出血と末梢血管拡張がみられHHTと診断した.本例においては,同意を得たのち倫理規定に従い,家系図を作成し,遺伝子の連鎖解析を行いそののち遺伝子異常のみられる染色体領域を決定し,候補遺伝子の配列の決定を行う. 肺動静脈奇形に合併したHHTに対する呼吸リハビリテーションは,そのプログラムがないことより実際には行われていない現況にある,また,肺動静脈奇形に対して肺動脈塞栓術が施行された後の呼吸リハビリテーション・プログラムも示されていない.佐竹は,こうしたHHTの高齢患者の評価方法として有用な歩行試験の有用性を確認し発表した.本法は,本症の呼吸リハビリテーション・プログラムに応用可能であることから,平成17年度は,実際にHHT患者において施行を予定している.
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