2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害の発症感受性に関わる遺伝素因解明と素因別の発症予防戦略の構築
Project/Area Number |
16615004
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
益田 順一 島根大学, 医学部, 教授 (70173747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 祥泰 島根大学, 医学部, 教授 (00118811)
並河 徹 島根大学, 医学部, 教授 (50180534)
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Keywords | 白質変性 / ラクナ梗塞 / イソプロステイン / 脳動脈硬化 / 酸化ストレス / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
Periventricular hyperintensity (PVH)は脳実質内に分布する穿通枝動脈の動脈硬化性変化による慢性的な虚血状態を背景として形成される病変と考えられている。また、脳動脈硬化の危険因子である加齢と高血圧がPVHの形成を促進させることがよく知られている。一方、生体内における酸化ストレスの亢進や一酸化窒素レベル(NO)の減少が動脈硬化を進展させる上で果たしている役割が近年、注目されている。今回、酸化ストレスの亢進状態が脳実質内の穿通枝動脈の動脈硬化性変化を進展させ、PVHの形成を促進しているとの仮説に基づき、これを検証する目的で横断的研究を行った。 1995年から5年間に島根難病研究所の脳ドックを受診した1215名(男687名、女528名)を対象とした。PVHの重症度はMRI検査により0〜4に分類した。酸化ストレスの指標として尿中8-iso-prostaglandin F2α(IsoP)、NOレベルの指標として血漿中のNO代謝物(NOx)を測定し、PVHの重症度との関係について他の因子とともに検討を行った。その結果、単変量解析では加齢、BMI、平均血圧、HDL-コレステロール、高血圧の存在、喫煙、ラクナ梗塞の存在、およびNOxの減少と、PVH重症度との間に有意な相関を認めた。さらに、多変量解析を行った結果、加齢(p<0.001)、高血圧の存在(p<0.001)、ラクナ梗塞の存在(p<0.001)、および平均血圧上昇(p=0.001)とともに、NOx減少(p=0.002)およびIsoP増加(p=0.01)も、PVHの重症度に影響を及ぼす独立した因子であることが明らかとなった。これらの結果より、酸化ストレスの亢進とそれに密接に関連したNOの減少がPVHの形成を進展させる独立した因子である可能性が示唆された。
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