2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダニ主要アレルゲンのシステインプロテアーゼ活性に依存するIgE産生誘導現象の解析
Project/Area Number |
16616009
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高井 敏朗 順天堂大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70338375)
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Keywords | ダニアレルゲン / システインプロテアーゼ / IgE / Th2誘導活性 / 減感作療法 / アレルゲンワクチン / 組換アレルゲン / Der p 1 / Der f 1 |
Research Abstract |
1.プロテアーゼ活性を修飾した改変体のマウス in vivo投与実験 Der f 1改変体精製標品を調製しマウス投与実験を行った。IgE及びIgG抗体誘導能の消失はプロテアーゼインヒビターE-64を使用したときよりも明瞭であった。 2.遺伝的背景が異なる近交系マウスへin vivo投与したときの応答の相違 改変体のIgE, IgG抗体誘導能の消失の現象は他の遺伝的背景を有するマウスについても同様であった。ただしプロテアーゼ活性を保持した組換Der f 1に対する応答性の強弱において各系統間で差があった。 3.Der f 1/Der p 1のプロテアーゼ活性を消去する生体内インヒビターの探索 皮膚由来試料としてヒト汗を用いて皮膚におけるインヒビターを探索しcystatine Aと同定した。cystatine Aの添加によってDer f 1/Der p 1のプロテアーゼ活性によるヒト培養ケラチノサイトの活性化が抑制された。 1及び2は本アレルゲンのプロテアーゼ活性が抗原性の付与に重要であることを意味している(基礎的側面)。本実験系はその解析に有用である。ヒトへの感作についても関連が推測される(臨床への示唆)。プロテアーゼ活性を欠いたDer f 1改変体はアレルゲンワクチンとして有望かもしれない。予防効果及び治療効果について検討を開始している(応用的側面)。3はケラチノサイトが本アレルゲンの酵素活性依存的に活性化されることを初めて示した。アトピー性皮膚炎に至るアレルゲン感作の初期ステップを考える上で興味深い。生体内のインヒビターが過剰な応答を抑制する「生化学的バリア」として機能することを、新たな概念として提唱した。他にもプロテアーゼ活性を有する組換体の調製法の改良及び、対照として必要なプロテアーゼでない主要アレルゲンDer f 2についても組換体を随時調製、改良を施した。昨年度と同様に国際誌への原著発表を多数行った。
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Research Products
(6 results)