2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16650028
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 晋 神戸大学, 工学部, 教授 (40156443)
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Keywords | PAC学習 / 論理 / ゲーム意味論 |
Research Abstract |
初年度は、近似概念がない場合のPAC学習の理論に対応する論理を、Halpernなどの確率論理を援用して構築することが主な目的であった。しかし、研究開始後に、最近、得られた極限計算可能数学のゲーム理論的解釈を、確率が存在する場合の論理の構築に使うという新しいアイデアを得た。極限計算可能数学の解釈は、Kleeneのrealizability interpretationを利用して与えられるが、最近、Berardi, Coquand, Hayashiにより、これと同値な、いわゆるGTS(Game Theoretic Semantics of Logic)が定義できることが発見された。Lorenzen, HintikkaなどのGTS of Logicでは、必勝法の存在がTarski semanticsにおける真と一致するが、この必勝法を、完全な必勝法ではなく、確率的な必勝法に置き換えるのである。これにより、ある確率で正しい解を学習するという論理の概念が容易に、かつ、極めて自然に定義できることとなった。ただし、一方で、この概念が全く意味論的であることから、syntacticalな特徴付けが、未だできていないという欠点を持つこととなった。また、もう一つの問題点として、多項式時間的な必勝法の概念が、未だ定義できていないという点も問題である。 また、懸案であり、平成17年度からの研究の中心の予定である、解の近似に関しては、この必勝法をもちいる方法でのゲーム・ツリー(ストラテジー・ツリー)におけるトライ・アンド・エラーの収束の概念が導入できたため、この方向で考えるというアイデアを得た。ゲームにはHintikkaの用語で言えば、NatureとMyselfというplayersがあるが、PAC学習のORACLE(f, D)をNature,確率的な学習者をMyselfと考えるのである。これにより、最初の計画と異なり、一息に近似が存在する場合の論理の意味論を構築できる可能性がでてきている。
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