2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16650028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 晋 京都大学, 文学研究科, 教授 (40156443)
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Keywords | PAC学習 / ゲーム理論 / 論理学 |
Research Abstract |
当初、研究の方向は研究代表者が定義したLCM realizability interpretationにおける学習アルゴリズムを確率的かつ計算複雑度論的にすることにより、PAC学習の論理を確立するということであった。しかしながら、この方向ではPAC学習の理論をLCM意味論の中に取り込むことがうまくできず、研究はうまく進まないでいた。昨年度は、当初の枠組みであったLCM realizability interpretationを捨て、Berardi, Coquand, Hayashiによって発見されたLCMのGame意味論を枠組みとすることにより、新たな方向性を探った。この枠組では、当初LCMのrealizability interpretationのrealizerに対応する、winning strategyを確率的かつ計算複雑度論的に限定することによりPAC学習をLCMに取り込むことを考えていたが、このアプローチでも思うような成果を上げることができなかった。このため"realizability = strategy"をPAC的にするというアプローチを抜本的に再考察した結果、大きな見落としがあることが分かった。すなわち、「PAC学習における推定は関数であるが、LCMにおける推定は任意の離散値である」という事実である。これはLCMの特徴であったが、この見方を強く意識しすぎたのが現在までの失敗の原因らしいことが判明した。PAC学習は、いわばstrategyを学習しているのである。この発見により、LCM game意味論のstabilizedな値以後のstrategyを推定としても捉えるという従来のLCMにはない枠組みで考察するとPAC学習をLCM意味論に取り込める可能性が大きいことがわかり、この方向で研究を進めている。当初は意味論は自明と予想したため、構文論を中心とする研究計画だったが、実は意味論が自明ではなかったわけである。残り1年は、このアイデアに元ずくPAC学習のLCMゲーム意味論の構築を目指す。
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