2005 Fiscal Year Annual Research Report
好意・感情を持つエージェント系の構築と人工社会の形成
Project/Area Number |
16650041
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
成瀬 継太郎 会津大学, コンピュータ理工学部, 講師 (10301938)
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Keywords | ウェブマイニング / マルチエージェントシステム / ニッチ形成 / 探索 |
Research Abstract |
本年度は,前年度に構築され性質の一部が解析された社会性エージェントを利用して,(1)Web空間からの効率的なデータ探索手法の開発と,(2)Web掲示板における個人間の相互作用の解明を行った.以下,それぞれを説明する. (1)Web空間からのデータを探索するには,ハイパーリンクでつながれた各ドキュメントをたどりながら各コンテンツを解析する必要があるため,大規模な計算コストが必要となる.本研究では,(A)リンクされたWeb文章を多次元尺度法により低次元に配置し直し,(B)その低次元空間内で社会性エージェントが持つニッチ形成能力を利用した効率的な探索を開発した.社会性エージェントのニッチ形成は,空間内の各極大点(山頂)を探索することに対応し,それはWeb空間では相互に関連のある文書を探索することになる.この手法により,個人のPCでも動作可能な効率的なWeb文書検索が可能となった. (2)Web掲示板では,ある人物が投稿した記事が他の人に潜在的に影響を与えていると考えられ,ときとして予想以上に集団全体に対して大きな影響を与えることがある.このような個人間の相互作用を解明するために,掲示板の利用者と相互作用をモデル化しエージェントとして表現し,シミュレーションを行うことによりモデルの妥当性を検証した.ここで考慮した相互作用は自己組織化臨界現象を用いたものであり,他人の記事からの影響がある一定量を超えると,自分も記事を投稿するというものである.その結果得られた記事の分布は実際の掲示板のそれによく類似しており,実際の掲示板においても自己組織的臨界現象が働いていると考えられる.
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