2004 Fiscal Year Annual Research Report
感性イメージのマルチモダリティ関連度を定量化する新手法の開発
Project/Area Number |
16650043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
行場 次朗 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50142899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川畑 秀明 鹿児島大学, 教育学部, 講師 (70347079)
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Keywords | 感性 / マルチモダリティ / 脳内活動 / セマンティック・ディファレンシャル法 / 美感 / エモーショナル・デザイン |
Research Abstract |
感性工学的研究において、C.E.Osgoodが開発したSemantic Differential (SD)法が広く利用されている。しかし、SD法で一般的に抽出される評価性因子、活動性因子、力量性因子の内容は、やや多義的で抽象的なので、リアルな心理過程に関連させて考察を深めることが困難で、実際場面で応用しにくい問題があった。 Suzuki, Gyoba, & Sakuta (2005)は、多チャンネル近赤外光スペクトスコピィ(NIRS)を使って、線画刺激のSD評定中の脳内活動を検討した。その結果、活動性因子に属する形容詞対を使って線画の印象評定を行っているときには、聴覚関連領野にあたる右脳の上側頭回付近で、活動性因子得点がマイナスの線画を鑑賞しているときのほうがプラスのものを見ているよりも、酸化ヘモグロビン濃度が上昇することがわかった。これに対し、力量性因子に属する形容詞対で評定を行う場合には、左脳の中心後回、中心前回近傍で力量性因子得点がマイナスの線画を見ているときに、酸化ヘモグロビン濃度の上昇がみられた。この領域は一次体性感覚野あるいは運動野に対応する領域である。これらの結果は、因子の感覚関連度を導出した研究(鈴木・行場,2003)で、活動性因子の聴覚に対する感覚関連度が比較的高いこと、力量性因子は触覚に対する感覚関連度が高いことと対応する。評価性因子については、NIRSでは、大脳皮質表面の活動しか測定できないため、特定の部位の活動は見出されなかったが、眼窩前頭前野や前部帯状回など、より情動に関連した領野がかかわる可能性が考えられる。 このアプローチを応用的方向に向ければ、工業製品などの目的に応じた感覚モダリティ・フィットネスをもつ印象生成や印象管理に指針を与えることが可能であり、感性工学や製品開発・管理分野へのインパクトは大きいと予想される。
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