2004 Fiscal Year Annual Research Report
高次脳機能における成体ニューロン新生の役割に関する研究
Project/Area Number |
16650066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真鍋 俊也 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70251212)
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Keywords | 神経新生 / 海馬 / 突然変異 / シナプス伝達 / 長期増強 / 扁桃体 / 記憶 / 遺伝子操作 |
Research Abstract |
1.転写因子であるPax6のヘテロ接合体変異ラットの海馬スライス標本を用いて電気生理学的解析を行った。Pax6変異ラットでは海馬歯状回での成体ニューロン新生が減少していることがすでに明らかになっているため、野生型と変異型ラットより得られたスライス標本において、歯状回での長期増強(LTP)に異常がみられるかどうかを検討した。GABA_A受容体をブロックした条件下での高頻度刺激によるLTPの誘導・発現には差がみられなかった。また、LTPに対する抑制系の関与についても検討したが現在のところポジティブな結果は得られていない。今後は成体ニューロン新生を種々の方法で変化させ、シナプス可塑性と個体レベルでの記憶能力にどのように関与しているかを検討していく予定である。 2.NMDA受容体のNR2Bサブユニットの最も強くリン酸化されるチロシン残基であるTyr1472をフェニルアラニンに置換したNR2Bサブユニットを発現するノックインマウスを作製し、その機能解析を行った。このノックインマウスでは、何も処理しない状態で海馬および扁桃体でのNR2Bのチロシンリン酸化の程度は4分の1以下の減少していた。したがって、Tyr1472をひとつ置換するだけで、脳内でのNR2Bチロシンリン酸化が激減することが明らかとなった。このノックインマウスでは、扁桃体の外側核でのシナプス伝達の長期増強が障害され、音刺激による恐怖条件付けに異常が観察され、NR2BサブユニットのTyr1472のリン酸化がシナプス可塑性と恐怖学習に重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)