2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16650074
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山下 俊英 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10301269)
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Keywords | 再生医学 / 中枢神経 / 軸索 / 細胞骨格 / 分子生物学 |
Research Abstract |
脊髄損傷、頭部外傷により失われた機能を回復させる有効な治療法はない。中枢神経の再生が困難な理由のひとつとして、軸索伸展阻害因子の存在が挙げられるが、これらの物質のうち幾つかが、神経細胞内にて低分子量Gタンパク質Rhoを活性化することを今までに明らかにしてきた。私はこれまで新規のRho GEF FIRを神経細胞より単離した(Kubo, Yamashita et al., 2002)。この蛋白はRhoGEF domainならびにFERM domainを有しており、Rac1の活性化を担っている。FIRは大人の海馬および小脳の神経細胞に豊富に発現しており、神経損傷により発現上昇が認められた。FIRはFERM domainを介して、何らかの細胞膜表面の受容体と付着し、細胞外からのシグナルを伝える役割を持っていると考えられる。本研究ではFIRのシグナル伝達のカスケードを解析する目的で、FIRのFERM domainに結合する蛋白の単離をyeast two hybridを用いて行った。その結果、数種類の候補蛋白のcDNAが得られた。それぞれの蛋白を外来性にHEK293細胞に発現させ、共沈および細胞内局在解析により、両蛋白の結合を確認した。現在、機能的連関を解析するために、得られた蛋白を過剰発現した時のRac1の活性化を細胞内で調べている。それにより得られた蛋白がFIRに対して、抑制性に働いているか、活性化しているかが明かになると考えられる。一連の研究により軸索損傷時の新たな再生阻害シグナルの詳細が明らかになると期待される。
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