2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16650076
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岡澤 均 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50261996)
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Keywords | 神経細胞死 / 転写 / 変性 / ポリグルタミン / アポトーシス |
Research Abstract |
ポリグルタミン病をはじめとするいくつかの神経変性疾患では転写障害の関与が強く疑われている。実際、ポリグルタミン蛋白が毒性を発揮するためには核へ移行することが必須である。また、異常ポリグルタミン蛋白は多くの転写因子および転写補助因子と結合することが知られている。さらには、最近異常蛋白(アンドロジェンレセプター)の核移行阻害薬が動物モデルに対して治療効果を持つことが明らかになり、人への臨床治療研究がすすめられている。一方で、転写障害が最終的に神経細胞死を起こしうるのか、また細胞死が起きるとしたら如何なる細胞死の形をとるのかといった問いにたいしては、驚くべきことにこれまで十分なデータが得られていない。そこで、本研究では初代培養神経細胞をRNAポリメラーゼII特異的阻害剤で処理したときに生じる細胞死について形態学的ならびに分子生物学的に解析を行っている。これまでに、特異的阻害剤処理によって半減期が5日以上の緩慢な神経細胞死が起きること、この形態変化はアポトーシス、ネクローシスのいずれの特徴も有しないこと、さらにはgenomic DNAのladder形成はおこらず、caspase活性化もなく、cytochrome c放出もないことを観察した。また、小脳神経細胞に低カリウムでアポトーシスを起こした場合を対照群として、RNAポリメラーゼII特異的阻害によって生じる分子発現変化をマイクロアレイで比較解析し、この新しい細胞死に特異的な分子変化を抽出した。この中には従来細胞死に関連が疑われている分子も含まれており、この分子がどのように機能して、非典型的細胞死に関与するのかを分子細胞生物学的に解析している。
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