2004 Fiscal Year Annual Research Report
入眠のタイミングを司る物質の同定と新規入眠薬の開発
Project/Area Number |
16650086
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴田 重信 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10162629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 和子 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (70367069)
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Keywords | オレキシン / 睡眠薬 / 体内時計 / アデノシン / 睡眠相後退症候群 / clockミュータント |
Research Abstract |
時計遺伝子の発見により、体内時計の研究は格段の進歩を遂げてきた。しかしながら未だに睡眠・覚醒リズムの入眠のタイミングを決める仕組みがわからない。すなわち、体内時計の出力が睡眠誘発物質の量をコントロールしているのか、あるいは睡眠物質を増やし、活性化する酵素活性を制御しているのは不明である。したがって本研究は、体内時計が入眠を誘発する仕組みを解明するのが、その第一の目的である。第二の目的は新しいタイプの入眠薬を開発する事である。先に述べたように体内時計が入眠を誘発する仕組みがわかれば、その分子を制御する化合物の開発を行なう。また、本研究では体内時計に関わる時計遺伝子の働きから、第1、2の研究目的を達成する試みも企てる。すなわち、体内時計が停止しているCry1/Cry2マウス、位相後退作用が顕著に出現するClockのミュータントマウスをそれぞれ用いる。後者のマウスは、ヒトでいう非24時間睡眠や睡眠相後退症候群(DSPS)に相当し、睡眠障害モデルマウスとして利用できるからである。まずadenosine deaminaseの線状体発現リズムを調べたが、全く変動がみられず、睡眠誘発に関わっている可能性は少なかった。つぎに、覚醒持続にかかわり間接的に睡眠調節に関与するオレキシンの作用について調べた。オレキシン神経脱落マウスは、求餌にともなう活動量増大が低下しており、給餌制限による睡眠覚醒リズム形成も減弱していることがわかった。また、ClockミュータントマウスのDSPS発症は発達期の光環境具体的いえば、恒常的に光にさらされると、非常に発症しやすいことがわかった。 現在これを改善する薬物を検索中である。
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