2006 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞を起源とする奇形腫の多因子モデルマウスの育成と解析
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16650092
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
野口 基子 静岡大学, 理学部, 教授 (40021951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳元 俊伸 静岡大学, 理学部, 助教授 (30273163)
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Keywords | 奇形腫(テラトーマ)高発系マウス / 精巣性奇形腫 / 卵巣性奇形腫 / コンジェニック系統 / 奇形腫原因遺伝子 / 生殖細胞 / 単為発生卵 / 幹細胞増殖因子 |
Research Abstract |
分化多能性腫瘍である奇形腫(テラトーマ)はマウスの個体において生殖細胞を起源として形成される。その形成の原因遺伝子や因子を探索し、導入系統を樹立するため、自然発症性精巣性奇形腫(STT)と実験的誘発性精巣性奇形腫(ETT)の高発系129系の亜系統並びに卵巣性奇形腫(SOT)高発系LTXBJのもつ遺伝的特徴に焦点を当て、次の成果を得た。 1.129系とLTXBJ系のF2胎仔を用いた連鎖解析により、ETT形成の原因遺伝子の新規候補領域Ett3を染色体マップした。 2.129系のETT原因遺伝子の候補領域Ett1を交配導入し、Ett1コンジェニック系の育成を進めN8世代に至った。N3及びN4世代からETTが形成され,Ett1、Ett2.および,Ett3の各候補領域の有効性を確認した。 3.129系の遺伝的背景ではSTT発症率はTerおよびSl変異のヘテロ共存雄で70%、Ka(4を参照)およびTer変異のヘテロ共存雄でも80%に達した。これらの変異郡に因る発症率の上昇は129系以外の背景では起きなかった。また、精子形成へのこれらの変異の影響とは異なっていた。 依って、STT形成が129系の不明な背景遺伝子と、幹細胞増殖因子等との多因子的共同作用によると判明した。 4.新規な自然突然変異Ka(Kasumiと命名)のコンジェニック系129/Sv-Ka/+とLTXBJ-Ka/+を樹立した。Ka変異は両系共にKaホモ個体に白色黒目,貧血致死及び生殖細胞欠損を起し、幹細胞増殖因子(Kitl)レセプター遺伝子Kit(10番染色体)の1塩基置換に因る1アミノ酸変異を起こした。また、前者のKa/+雄ではSTTの発症率は上がり、後者のKa/+卵巣では起源細胞の成熟卵単為発生卵数が減りSOT発症率は半減した。 そこで、マウス以外の材料からも卵成熟の分子的知見を参考にすることにして成果を得た。
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