2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16650095
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中潟 直己 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (30159058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 武人 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 助手 (30332878)
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Keywords | ラット / 精子 / 凍結乾燥 / ICSI |
Research Abstract |
ラット精子の凍結乾燥に関する報告がほとんどないため、本年度はラット精子の凍結乾燥に対する耐性、および凍結乾燥後も受精能が維持されているかという点に重点をおいて研究を行った。 精子の凍結乾燥は、マウスで既に行われている方法を応用した。精子は6ヶ月齢のWisterラットの精巣上体尾部より回収した。得られた精子塊は、Kanekoら(2003)のマウス精子凍結乾燥用保存液中に懸濁した。精子懸濁液を充填したガラスアンプルを凍結乾燥機に装着し、4時間乾燥させた。アンプルはガスバーナーを用いて封入し冷蔵庫(4℃)で保存し為た。2週間後、凍結乾燥精子は超純水を用いて復水し、過排卵処理により得られた同系統の未受精卵子内に卵細胞質内精子注入法(ICSI)を用いて精子を導入した。精子導入後の卵子は、R1ECM培養液に導入し、37℃、5%CO_2環境下で培養した。新鮮精子は本実験の対照区として用いた。 その結果、新鮮精子を導入した22個の卵子のうち11個(50%)が雌雄両前核を形成した。一方、凍結乾燥精子においては、精子を導入した24個の卵子のうち10個(42%)が雌雄両前核を形成した。受精後の雌雄両前核の形成率は新鮮精子と凍結乾燥精子の間で有意な差は見られなかった。しかしながら、その後の2細胞期への発生は新鮮精子および凍結乾燥精子の両方において確認されなかった。 本年度の研究結果により、受精後の前核形成率のさらなる向上およびICSI後の卵子の培養環境の検討が課題としてあげられた。来年度は、ラットのICSI法を確立するとともに、高率的な長期保存へ向けてのラット精子凍結乾燥法の開発について検討していく予定である。
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