2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体-材料相互作用解析のための表面プラズモン共鳴像・励起蛍光像同時計測機器
Project/Area Number |
16650104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
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Keywords | 細胞 / タンパク / アルカンチオール / 表面プラズモン共鳴 / 全反射蛍光顕微鏡 / 細胞接着 / タンパク吸着 |
Research Abstract |
生体が人工物と接触した時に起こる界面での出来事を、タンパクレベルの早い反応から細胞レベルの比較的遅い反応までをin situで追うために表面プラズモン共鳴装置と全反射蛍光顕微鏡を作成してきた。一方、-OH、-COOH、NH_2、-CH_3の官能基を末端に有するアルカンチオールを用いて金薄膜上によくキャラクタライズされた表面を作成した。4種類の官能基(-CH_3,-OH,-COOH,-NH_2)を有する表面上に細胞膜を蛍光色素でラベルしたヒト臍帯静脈内皮細胞を播種し、その時の蛍光像の経時変化を全反射蛍光顕微鏡で観察した。播種後10分では,COOHおよびNH_2表面では数個の耀点が観察されたもののCH_3およびOH表面では観察されなかった。播種後10分では,多くの細胞は培地中に浮遊しており,エバネッセント光の及ぶ範囲に存在する細胞は少なかった。播種後30分では-COOHおよび-NH_2表面上で観察される耀部分の数は増加し,また,個々の耀点は広がった面となり,エバネッセント光がおよぶガラス基板表面からの距離に存在する細胞膜の面積が増大した。これらの表面では細胞が接着していることが分かる。一方,-OH表面では耀点の数は依然として少なく,細胞はあまり接着しないことが分かる。さらに,-CH_3表面では,少数の耀点は観察されるものの,それはほとんど広がることはなかった。このように,全反射蛍光顕微鏡を用いることで,比較的初期の細胞接着挙動を追跡することができた。表面プラズモン共鳴法で表面への細胞接着に関与するフィブロネクチンおよびビトロネクチンの吸着量の評価を行ったところ、表面間の差は小さく残念ながらそれらの表面への吸着量と細胞接着性の関係を議論できなかった。これはフィブロネクチンおよびビトロネクチンの血清中濃度が低いため,このため吸着量も少なかったためと考える。
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