2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨修復のための温度応答型リン酸カルシウム自己硬化性材料
Project/Area Number |
16650110
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大槻 主税 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (00243048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷原 正夫 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (50294286)
尾形 信一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00314542)
上高原 理暢 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (80362854)
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Keywords | 温度応答性 / リン酸カルシウム / 自己硬化 / 生体活性 / ペースト |
Research Abstract |
従来のセラミックス系骨修復材料は,高い組織親和性や生体活性を示す反面,成形が困難で,手術室で成形し難い問題がある。近年,リン酸カルシウム粉末と水を反応させて硬化する骨修復用ペーストが実用化され,その有用性が認識されてきた。ただし,従来のリン酸カルシウムペーストには,手術の現場で,水と粉末を混ぜ合わせ均一な混合物を作る手間が必要であった。これに対して,温度応答性により硬化する材料が得られれば,手術室で煩雑な操作を必要としない画期的な自己硬化性骨修復材料になると期待される。本研究では、室温で流動性を示すペーストとして提供され,体温付近で自己硬化して,骨組織と結合する材料を創成するための基礎的指針を明らかにすることを目的とする。 本年度は、有機修飾したリン酸カルシウム粉末と温度応答性を示す有機高分子溶液の作製を行った。炭酸カルシウムとリン酸とを超純水中で混合することによりリン酸八カルシウム(OCP)を作製した。得られたOCPをシランカップリング剤であるビニルトリエトキシシランを含む水溶液中で処理した。この処理を施したOCPについて含まれる元素を調べたところ,処理前には認められなかったケイ素が検出された。これは,OCP表面にビニルトリエトキシシランが結合し,OCP表面に有機官能基が導入できたことを示す。次に,温度応答性の高分子水溶液について検討した。その結果,ヒドロプロピルセルロースを用いた場合に,分子量が大きく,しかもイオン強度が大きい水溶液であれば,室温においては流動性を示し,体温付近においてゲル化する傾向が見られた。さらに,メチルセルロースを用いた場合も同様の傾向が得られることを確かめた。従って,有機修飾したOCPとこれらの温度応答性高分子水溶液を混合すれば,体温付近で自己硬化して,骨組織と結合するペーストが得られると期待される。
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