2004 Fiscal Year Annual Research Report
人工呼吸誘発多臓器不全メカニズムの遺伝子発現解析とシステム論的解明
Project/Area Number |
16650112
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
野城 真理 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80014231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 弘祐 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (70153632)
原田 芳照 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (20050677)
佐藤 雄一 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (30178793)
氏平 政伸 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (70286392)
福岡 豊 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 助教授 (30242217)
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Keywords | 人工呼吸 / 肺損傷 / アポトーシス / サイトカイン / 二酸化炭素 / 網羅的遺伝子発現解析 / pH |
Research Abstract |
人工呼吸は機械的刺激を肺に与えるとともに、血液中の酸素分圧と二酸化炭素分圧にも影響を与える。肺損傷と二酸化炭素分圧との関係を調べるために、正常ヒト肺動脈内皮細胞にTNFαを加えて人工呼吸器による炎症を再現し、それに10%CO2を加えて培養した細胞、さらにNaHCO_3を加えてpHを補正した細胞、計3種類の細胞の遺伝子発現をAffymetrix社のGeneChipによって網羅的に解析した。 TNFαを加えるとアポトーシスに関わる種々の遺伝子が発現した。これらの遺伝子の中に、10%CO_2を加えてpH補正を行わないときに発現量が減少するものがあった(DAPK2,STK4,E2F2)。10%CO_2を加えてpH補正を行うと、DAPK2とE2F2はpH補正しない場合より発現量が増加したが、TNFαのみを加えた時よりは減少した。STK4はpH補正すると、pH補正しない場合より発現量が減少した。 この実験結果から、高濃度二酸化炭素はアポトーシス抑制効果があると言える。言い換えると、人工呼吸の機械的刺激によって肺が損傷されるとき、高濃度二酸化炭素を加えていれば、損傷を軽減する効果が期待できる。通常人工呼吸は二酸化炭素分圧を低下させる目的で行われるが、常識に反して二酸化炭素分圧を高くすることに肺を保護する効果があることになる。二酸化炭素の保護効果は、pHによるものとCO2そのものによるものとがあることも示された。
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Research Products
(3 results)