2004 Fiscal Year Annual Research Report
完全生体内分解吸収性温度応答性高分子の創製とバイオマテリアルとしての応用
Project/Area Number |
16650113
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大矢 裕一 関西大学, 工学部, 助教授 (10213886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 辰郎 関西大学, 工学部, 教授 (60067650)
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Keywords | 生体内分解吸収性高分子 / 温度応答性 / ポリデプシペプチド / 下限臨界溶液温度 / インテリジェント材料 / 細胞毒性 / アスパラギン酸 / グリコール酸 |
Research Abstract |
近年,ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)に代表されるアクリルアミド誘導体など,温度変化に伴い下限臨界溶液温度(LCST)を境に水和状態が変化する高分子の生医学材料への応用が注目されている。生体内で用いる材料には,目的達成後生体内で分解を受け,その分解物が代謝・吸収される生体内分解吸収性高分子であることが望ましい用途は数多くあるが,PNIPAAmなど温度応答性高分子は,いずれも非生体内分解性である。我々はこれまでに,グリコール酸と側鎖にカルボキシル基を有するアスパラギン酸のポリエステルアミド交互共重合体であるポリデプシペプチド(Poly[Glc-Asp])の合成について報告してきた。このポリデプシペプチドは主鎖にエステル結合を有し,生理条件下で容易に加水分解される生分解性高分子である。本研究では,このポリデプシペプチドの側鎖カルボキシル基に適度な親水性官能基を導入したポリデプシペプチドを合成し,そのインテリジェント型生分解性材料としての有用性について検討した。既に報告した方法に従い,poly[Glc-Asp]を合成し,溶媒にDMF,縮合剤にDCC用いて,イソプロピルアミンとカップリング反応を行い,目的物であるイソプロピルアミド基を有するポリデプシペプチドを得た。同定は^1HNMR,GPCによって行った。得られたポリデプシペプチドの純水溶液の透過率測定を行ったところ,29℃に曇点を示し,温度応答性を有していることが確認された。また,生分解性試験により主に主鎖中のエステル結合で切断され,モノマーレベルまで分解していることが確認された。さらに,細胞毒性試験により,分解物濃度に依存することなく,細胞生存率が非常に高い値を示したことから,分解物はL929(マウス上皮由来繊維芽細胞)に対する細胞毒性がないことが示唆された。
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Research Products
(2 results)