2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16650130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 久美子 (田中 久美子) 東京大学, 情報基盤センター, 助教授 (10323528)
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Keywords | 福祉工学 / 文書入力システム / ユーザインターフェース / 自然言語処理 / モールス信号 / 重度身体障害者 |
Research Abstract |
本研究課題は、モールス信号を用いて重度身障者のための1ボタン入力システムを構築することである。モールス信号を用いた入力システムには先行研究があるが、本研究の特色はこれに予測入力を組み合わせる点にある。予測入力を用いると,予測を用いない場合と比べ、画期的に打鍵数を減らすことができる。このため、福祉の分野では有効性が期待できる。 申請段階では英語のみの試作品があり、本格的な実装実験などは行われていなかった。初年度はまず予測の用い方をさまざまに検討した。特に、単に予測入力を導入するだけでなく、予測された単語候補のうち、候補選択により入力時間を削減しないものの刈り込みを行なう工夫を行い、その有効性を確かめたところ、入力効率の大きな向上が見られた。この工夫は従来のかな漢字変換などにはみられない工夫であり、福祉の分野だけでなく健常者の分野にも応用可能なアイデアとして期待できる。 申請段階では、英語のみの実装であったが、日本語や仏語の実装も行った。また、さまざまな実験を健常者により行い、既存の方法と比較している。さらに、基本システムの使い勝手に問題があるため、その点の改良が次年度に持ち越される。 本年度は、実際の身体障害者に協力を求めて、入力実験を行う予定であったが、これについては、未だ予定が立っていない。なぜならば、重度身障者の状況は、病状、計算機環境、本人の意思などに大きく依存し、実験に協力を要請できる安定した状態にある適当な被験者が見つかっていないからである。現在も国立身体障害者リハビリテーションセンターの研究所研究員の元、被験者を探している。 これまでの成果は、平成16年春に行われた国際会議で発表した。また、夏に行われた国内の学会でも発表を行った(2件)。さらに、研究代表者はこれ以外にも、予測を用いた入力システムに関する研究を一般に行っているが、それに関する総サーベイ論文を執筆する依頼が情報処理学会からあり、その中にも身体障害者用のシステムとして本研究成果を盛り込んだ。
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