2005 Fiscal Year Annual Research Report
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16650130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 久美子 (田中 久美子) 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教授 (10323528)
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Keywords | ユーザインターフェース / 動的な言語モデル / 身体障害者 / アクセシビリティー / ユニバーサルな技術 / モールス信号 |
Research Abstract |
本年度は、成果の公表に力を入れた。結果、四つの成果を得ることができた。 第一に、入力システムの学習方式に関する成果が英文論文誌Natural Language Engineering (Cambridge University Press)に採録となった。これは、少数ボタンを用いた入力システムの根幹を成す技術である動的な言語モデルについて論じたもので、PPMという情報理論上の手法を入力技術に適用して検証を行った結果を論じたものである。 第二に、2005年夏にドイツで入力システムに関するワークショップを開催した。本ワークショップは私が主催者の一人である。約15名の入力関係の著名な研究者が集まり、3日間に渡って議論が繰り広げられた。その中には、身体障害者の関係の研究者も含まれており、重度身障者のための入力に関する議論も行った。 第三に、これが最大の成果であるが、入力システムに関する英語の本をElsevierから刊行することが決まった。すでに出版社との契約が済み、2007年1月に刊行予定である。私はEditorを努めるほか、全部で17章ある中のPreface,文書入力のための言語モデル、少数入力、漢字圏の入力方法の全4章を現在執筆中である。 第四に、情報処理学会「情報処理」から「少数キーによる入力-ユニバーサルな言語コミュニケーションを目指して-」と題した解説記事執筆の依頼があり、執筆を行った。その中で、身障者による情報発信において、少数キー入力がいかに大きな可能性を持っているかを訴えた。 国立リハビリテーションセンターと共同での、ALS患者による入力実験は、適当な被験者を得ることができず、取りやめとせざるを得なかった。被験者は急速に容態が悪くなって亡くなるケースも多く、実験を依頼することはやはり難しい。少数入力システムは現在日英で動作しており、ホームページからのダウンロードが可能である。 最後に、本萌芽研究を資金的にサポートをいただき、関係者のみなさまに感謝の意を表します。本資金のおかげで、IBMの全盲の研究者である浅川千恵子さんをはじめとする、多数の身障者の人々と接触することが可能となり、世界が大きく広がりました。今後もユニバーサルなコミュニケーションを目指し、研究を行っていきます。ありがとうございました。
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Research Products
(8 results)