2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16650132
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
畠 義郎 鳥取大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40212146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤崎 孝文 鳥取大学, 大学院医学系研究科, 助手 (30335393)
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Keywords | 視神経 / 損傷 / 電気刺激 / 機能再生 / 視覚誘発電位 / ラット |
Research Abstract |
本課題は人工的電気刺激により視機能の維持や回復を目指す試みである。神経活動は神経細胞に様々な細胞内シグナル伝達の変化を引き起こす。その結果、神経突起の伸長や細胞間のシナプス機能が変化することが知られているが、特に注目すべきこととして、視神経の電気刺激により、視神経切断後に生じる網膜神経節細胞の細胞死がある程度減少することが報告されている。このことは、人工的な神経活動により、視機能の保護や回復を誘導できる可能性を示している。そこで、視神経の圧迫損傷をモデルとし、電気刺激による神経活動が、損傷後の視機能低下を防止するか、あるいは損傷後に低下した機能の回復を促進するかを成熟ラットを用いて検討した。 視神経損傷の影響や電気刺激の効果を同一の動物で調べるため、慢性記録標本を作製した。成ラットの視覚野直上にステンレス製ボルト記録電極を留置し視覚誘発電位を記録した。一側視神経を定量的に損傷し、直後に視覚誘発電位を記録した。記録終了後、ラットERG記録用双極電極を角膜に装着し、6時間の経角膜電気刺激を行った。対照群は、電極装着後、刺激を与えずに同じ時間麻酔下で維持した。電気刺激終了直後、および視神経損傷から1週間後にも視覚誘発電位を記録した。以上、計4回の視覚誘発電位を各個体毎に記録し、その振幅を定量し、評価した。 全ての動物において、視神経損傷直後に視覚誘発電位の振幅は大きく減少した。非刺激群では、その後6時間あるいは1週間の回復期間をおいても視覚誘発電位の改善は見られなかった。一方、経角膜電気刺激群においては、その振幅は電気刺激終了直後に有意に増大し、それは1週間後の記録においても持続していた。以上の結果から、ラットにおいて、視神経損傷直後の経角膜電気刺激が、視機能の保護あるいは回復を促進することが示唆された。
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Research Products
(3 results)