2004 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経活動を重度障害者の代替え意思伝達手段とするための瞳孔反応の研究
Project/Area Number |
16650143
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
青木 久 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 機能発達学部, 室長 (60150215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 玲子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 機能発達学部, 主任研究員 (80227371)
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Keywords | 瞳孔散大 / 交感神経皮膚応答 / 意思伝達手段 / 重症心身障害 |
Research Abstract |
[目的]随意動作の囲難な重症心身障害児・者が動作を介することなく意思を伝達する方法を開発するために、文字等の呈示に対する瞳孔反応の解析を行った。 背景 これまでに我々は、交感神経皮膚応答(SSR)が意思伝達手段に利用できることを報告した。しかし、SSRは潜時が長ぐ、頸椎症などにより伝導経路が障害を受けるなどの問題点が明らかとなった。本研究では、SSRに替わる交感神経活動の指標として瞳孔反応に注目して、意思伝達手段としての適合性を検討する研究を実施した。 [方法]被検者6名(健常成人3名、脳性マヒ2名、ALS1名)に、SSRを誘発する音刺激を加えて、瞳孔変化を赤外線ビデオカメラにより測定した。同時に手掌の皮膚電位を誘導して、瞳孔変化との関係を分析した。また文字選択課題として平仮名をランダムに表示し、あらかじめ指示した文字の表示された時に起きる瞳孔変化を解析した。 [結果]音刺激に対して、健常群では70%の試行に瞳孔の散大が認められた。さらに瞳孔散大反応の90%はSSRを伴った。瞳孔散大反応の平均潜時は560msであり、SSRの平均潜時よりほぼ1秒短かった。脳性マヒ2名の被験者では、健常者とほぼ同じ潜時と波形の瞳孔散大反応が得られた。ALSの被検者では、潜時は同じであったが散大の持続時間は短い傾向が認められた。さらに健常群で実施した文字選択課題では、ターゲット文字が表示された場合の瞳孔散大反応の出現率は70%であり、非ターゲット文字に対する出現率は19%であった。 [考察]瞳孔散大とSSRとがほぼ同期して出現したことから、瞳孔散大反応はSSRと同の交感神経活動のよることが示唆された。また、瞳孔反応の潜時がSSRより短いこと、障害者に瞳孔散大が認められたこと、70%のターゲット文字を選択できたことから、瞳孔反応を意思伝達手段に利用することが可能であることが示唆された。
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