2004 Fiscal Year Annual Research Report
多チャンネル式近赤外線分光法装置による筋出力発揮に関連した大脳皮質領域の同定
Project/Area Number |
16650144
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木塚 朝博 国立大学法人筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30323281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 守匡 財団法人国際科学振興財団, 専任研究員
征矢 英昭 国立大学法人筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (50221346)
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Keywords | 多チャンネル式近赤外線分光法 / 前頭連合野 / 運動関連領野 / アイソメトリック収縮運動 |
Research Abstract |
筋収縮に関連した大脳皮質活動の評価は、身体運動の遂行に関連した遠心性調節を理解する上で重要な情報となる。これまでのPET及びfMRIを用いた研究では、手指運動を中心に、運動課題の複雑性、速度、発揮張力の変化に伴い運動関連領域の賦活領域や賦活の程度が変化することが明らかにされてきた。しかし、実際のスポーツパフォーマンスに強く関与する大筋群収縮時の大脳皮質の神経活動の空間的分布を筋出力レベル別に検討した報告はない。本研究では、体動の影響が少なく時間分解能も高い多チャンネル式近赤外線分光法装置(光トポグラフィ)を用いて、前頭連合野及び運動関連領域を対象に、上腕の筋出力発揮に関連した大脳皮質領域の同定を目的とし各測定領域の血流動態を比較、検討した。被験者は、健常な右利きの男子学生10名とし、右腕上腕二頭筋のアイソメトリック収縮運動を10%、30%、50%、70%MVC(随意最大筋力)の強度にて行い、光トポグラフィにより各測定領域における運動中の酸素化ヘモグロビン量(脳血流量)の変化を測定した。各課題の試行時間は7秒間、それぞれの課題の間隔は20秒としこれら5種類の課題を5セット行った。また、測定直後に各課題のRPE(主観的運動強度)を測定した。筋出力レベル増大に伴い、前頭連合野では30%MVC以上で強度依存的な増大を示した。また、50%及び70%MVC時では前頭極領域の脳血流量の増大は運動野領域よりも大きかった。さらに、70%MVC時では、左運動野が右運動野に対して有意な増大を示した。以上の結果から、筋出力レベルの増大により運動野領域では側性が認められ、前頭極では高い脳賦活状態を示すことが示唆された。この詳細な機構については不明であるが、筋出力レベル増大に対する対側運動野での脳血液量増大は活動筋に対するインパルス発射頻度の亢進であり、前頭極領域での増大は筋出力に対する意思、意欲の高まりによると推定される。
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