2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16650145
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
近藤 良享 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00153734)
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Keywords | 研究倫理 / インフォームド・コンセント / 人権保護 / 研究倫理委員会 / ヘルシンキ宣言 |
Research Abstract |
体育・スポーツ科学の研究においては、人間を被験者として研究する場合が数多くある。人間を被験者とする場合にはヘルシンキ宣言に則り、インフォームド・コンセントが不可欠であることは論を待たない。しかし、被験者へのインフォームド・コンセントによる同意書の形を採っても、実際は、さまざまな人間関係に基づく、自主的とは言えない同意があるときく。よって本研究の目的は,体育・スポーツ科学研究に協力する被験者への人権がどのような形で擁護されているかを明らかにすることである。 今年度は研究の二年目にあたり、前年度に収集した資料、特に、ドイツで集められた資料の分析を行った。ドイツでは、2001年に開催された「欧州スポーツ科学学会」のシンポジウム「スポーツ科学研究における倫理と原則」に端を発して、「スポーツ科学者のための職業倫理原則」が2003年に制定された。そこでの原則には、客観性、透明性、保護義務の各原則のほか、同僚間の協力関係と誠実の原則があげられている。その中で、特に本研究と関わるのは、保護義務と同僚間の協力関係と誠実の原則であり、そこでは単に被験者への人権配慮だけではなく、研究プロセスに参加するすべての者(特に研究助手ほか、研究プロセスの結果に直面する実践の場のスポーツ選手ら)すべてが互いに敬意の念をもって研究に携わることを求め、研究機関にはこの原則が遵守されるように「倫理委員会」の設置も求めている。 以上のような各国の状況も踏まえて、次年度は、さらに各国の研究倫理規定や被験者の人権への配慮について詳細に検討を進めていく予定である。
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