2004 Fiscal Year Annual Research Report
近世改革期における為政者の武芸嗜好に関する文献学的研究
Project/Area Number |
16650148
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Research Institution | Hamamatsu University |
Principal Investigator |
菊本 智之 浜松大学, 国際経済学部, 助教授 (70267847)
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Keywords | 改革期 / 為政者 / 武芸思想 / 徳川吉宗 / 松平定信 / 真田幸貫 / 田安宗武 / 親子関係 |
Research Abstract |
近世改革期の為政者、特に、8代将軍徳川吉宗(享保の改革)→御三卿筆頭田安宗武→老中筆頭松平定信(寛政の改革)→老中真田幸貫(天保の改革)と親子関係の続く改革の推進者の間でどのような思想的影響を受け、武芸思想や武芸観、武芸嗜好が流れていたのかを史料調査、解読、分析を行い研究を進めた。本年度は、年度当初に計画した研究実施計画と多少実施時期において変更があったが、6月から7月にかけて、インターネットなどを利用して徳川吉宗、田安宗武、松平定信、真田幸貫関係の文献の所蔵場所を調査した。8月には、現段階で収集済みの史料について神戸学院大学・前林清和教授、筑波大学・酒井利信講師から専門知識の提供、古文書解読などの協力を得て、史料の分類、分析などの作業を進め、作業終了部分については史料整理を行った。その中で内容の解読と分析が完了した史料『古松平樂翁源定信朝臣 體乃趣意を書給へる一巻』と『甲乙流組合 體』の史料を分析、比較、検討し、第37回日本武道学会で「松代藩史料『古松平樂翁源定信朝臣 體乃趣意を書給へる一巻』に関する一考察」と題して発表を行った。これにより、松代藩主真田幸貫が父・松平定信の武芸観や思想的影響を受けながら、武芸研究を進めていたことが裏付けられ、為政者としてもその影響を強く受けていたことが明らかになった。この研究結果をさらに違う角度からも立証し、研究論文としての完成を目指すために、目録になっていない松代藩関係史料の台帳にもう一度あたり、真田幸貫と松平定信の武芸関係を裏付ける史料の調査を行った。(9月23日〜26日)その結果、さらにこれらのことを明らかにしていく可能性のある史料が多数、真田宝物館に所蔵されていることが明らかとなった。現在、継続して古文書史料の解読、分析作業を行うほか、次年度にむけて史料収集の準備、リストづくり、出張計画などを立てている。
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