2005 Fiscal Year Annual Research Report
近世改革期における為政者の武芸嗜好に関する文献学的研究
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16650148
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Research Institution | Hamamatsu University |
Principal Investigator |
菊本 智之 浜松大学, 健康プロデュース学部, 助教授 (70267847)
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Keywords | 改革期 / 為政者 / 武芸思想 / 徳川吉宗 / 松平定信 / 真田幸貫 / 田安宗武 / 親子関係 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、当研究の新たな視点に即して、史料収集、整理、解読、分析などを行った。昨年度は、真田幸貫の武芸関係史料にあたり、収集、解読、考察を行ったが、今年度は幸貫と親子関係であった松平定信から受けた武芸に関する思想的影響、武芸観、武芸嗜好の関連などについて史料調査、解読、分析を行い研究を進めた。6月から8月にかけて、昨年より継続してきた未解読部分の解読作業を進め、夏季休業期間や週末、冬季休業期間などを利用し、現段階で収集済みの史料について神戸学院大学・前林清和教授から専門知識の提供、古文書解読などの協力を得て、史料の分類、分析などの作業を進め、作業終了部分については史料整理を行った。その中で内容の解読と分析が完了した史料『柔道御傳書 殺活傳』を分析、検討し、第38回日本武道学会(天理大学)で「松代藩史料『柔道御傳書 殺活傳』に関する一考察」と題して発表を行った。ここでは、父・松平定信の最も傾倒していた鈴木清兵衛邦教の行う起倒流柔道に、真田幸貫自ら強い関心を示し、武芸観や思想的影響を受けながら武芸研究を進めていたことが裏付けられた。起倒流を深く探求した松平定信、真田幸貫親子は、鈴木清兵衛以前の起倒流についても研究していたことなども明らかになり、史料の中に柳生新陰流などが引用されていることから、思想的には武士道的な思想を唱えながらも、柳生新陰流同様、起倒流も小さき兵法ではないことが意識されていたことが確認できた。今年度は、松平定信、真田幸貫親子の関係を中心に、鈴木系の起倒流柔道の研究を行った意図、思想的発想、方向性の違いや継承されてきた部分を明確にすることができたと考えている。今後は定信の祖父・徳川吉宗、父・田安宗武との関係を中心に、近世改革期の(特に親子関係のある)為政者の武芸嗜好や武芸思想が社会に与えた影響をなどについて明らかにし、研究の成果をまとめていく予定である。
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Research Products
(1 results)