2004 Fiscal Year Annual Research Report
自転車ロードレースにおける環境としての坂の評価-定量的測定とGISによる地図化
Project/Area Number |
16650159
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
岩船 昌起 志學館大学, 人間関係学部, 講師 (00299702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 昌也 志學館大学, 人間関係学部, 助教授 (90291848)
鈴木 雄清 志學館大学, 人間関係学部, 講師 (00333253)
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Keywords | スポーツ環境 / 道路 / 自転車 / 心拍 / 拍速 / 知覚 / GIS / 地形 |
Research Abstract |
急崖などの地形に規定される「勾配のある道路」は,その勾配や長さを測定することによって物理的に定まった現実の空間として認識される。しかしながら,そこを移動する人間にとっては,移動手段,運動形態,運動能力,運動経験,発育発達等に応じて質的に異なる"坂"として知覚される。例えば,同じ自転車を用いて,同じ勾配の道路を上る場合でも,体力レベルが高い人はその道路を「簡単な坂」とみなし,低い人はそれを「きつい坂」と感じるだろう。ここで表現された「簡単な」や「きつい」というしんどさの度合いは,定性的な位置づけであり,スポーツ環境としての道路の価値を明確に示せていない。 本研究では,人間の移動距離とその時の心拍数との関数である"拍速"という運動効率に関わる新しい指標などを用いて,自転車移動時の人間の身体的負担度(しんどさ)を定量的に測定し,これらの結果からスポーツ環境(環境資源)としての"坂"の定量的な評価を試みている。現段階では,積み重ねられた実験データから,次のことが明らかになった。(1)一回拍出量の変化などの運動生理が拍速の特性にも反映されている可能性が強いこと,(2)道路の勾配と拍速とが密接に関連していること,(3)「勾配と拍速との関連」は被験者ごとに固有の関係を示すこと,(4)しかしながら「勾配と拍速との関連」は大まかな体力レベルごとにグループ化できること,(5)したがって体力レベルに対応したグループごとに「運動に適した坂」を明示できることなどである。 平成17年度は,上記の成果をもとに,(1)アンケート調査による坂の認知と拍速との関連,(2)地理情報システム(GIS)による「スポーツ環境としての坂の地図化」の実施,(3)Webによる研究成果の公開によるスポーツ環境情報の地域住民への提供などをおこなう予定である。
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