2004 Fiscal Year Annual Research Report
身体トレーニングによる大腸ガンの予防効果に関する研究
Project/Area Number |
16650160
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
田畑 泉 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 部長 (20188402)
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Keywords | ACF / 走トレーニング / 大腸 / がん / ラット |
Research Abstract |
大腸がんは、がんの初期段階である異常腺窩巣[aberrant crypt foci(ACF)]から腺腫となり、さらにがん腫に変化するという多段階発がん機構を経ることが知られている。本研究では、ラットを対象として、先行研究により大腸の腫瘍およびがん腫への進展予防効果が報告されているトレッドミル走運動トレーニングと回転ケージを用いた自発走運動トレーニングが「がん」の初期段階であるACFの発生を予防しうるかについて検討を加えた。Fisher系雄性ラットに体重1kg当り20mgの1,2-Dimethylhydrazine(DMH)を1週間に1回を2回投与した後、ラットにトレッドミルによる走運動トレーニング(TRT)および回転ケージを用いた自発走運動トレーニング(VRT)を実施した。TRTは、10m/minのスピードで1日2時間、週5回を4週間実施した。VRTは回転車輪付のケージにて4週間飼育した。他のラットは、非運動コントロールとしてケージにて安静を保った。トレーニング終了2日後、非運動コントロール群とともに大腸を摘出し、顕微鏡下でACF数を測定した。その結果、トレーニング期間中の総走行距離は、TRT群が24kmに対し、VRT群が62±11kmであり、VRT群はTRT群の2.6倍の走行距離であった。TRT群のACF数は、非運動コントロール群より有意に少なかった(14.3±2.3 vs. 28.9±4.4,p<0.05)。Crypts/ACF数においても、1、3および5 cryptsがTRT群で有意に低い値であった(1 crypt:3.2±0.5 vs. 6.4±1.2個,p<0.05;3 crypts:2.6±0.6 vs. 5.9±1.1個,P<0.01;5 crypts:0.6±0.2 vs. 2.2±0.4個,P<0.01)。一方、VRT群のACFおよびCrypts/ACF数は非運動コントロール群との間に有意の差を認めなかった。以上の成績から、身体運動トレーニングはDMHによって誘発されたACFの発現を抑制する可能性がある。したがって、大腸がんの一次予防としての身体運動トレーニングの重要性が示唆された
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