2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞由来の生理活性物質の健康指標としての意義に関する運動疫学研究
Project/Area Number |
16650165
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊谷 秋三 九州大学, 健康科学センター, 教授 (80145193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 悠 福岡大学, 筑紫病院・第二内科, 教授 (20090863)
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Keywords | レプチン / アデイポネクチン / C反応性蛋白 / 内臓脂肪 / 持久性体力 / 糖尿病患者 / オッズ比 / 代謝異常症候群 |
Research Abstract |
本研究の目的は、非薬物療法下にある肥満を伴う境界型(IGT)および2型糖尿病男性患者(Type2DM)を対象に、代謝異常症候群(MS)とレプチン、アディポネクチンおよびC反応性蛋白(CRP)との関連性疫学的手法を用いて検討した。男性IGT/Type2DMを対象に、レプチン、アディポネクチン(77名)およびCRP(91名)濃度3区分に対するMS発現のオッズ比をロジスティック回帰分析より求めた。高値群に比べLow-レプチン群およびLow-アディポネクチン群のMS発現のオッズ比(年齢調整)は、それぞれ0.128(95%CI:0.060-0.782、3.650(1.058-12.590)で有意であった。特にHigh-A/L比群に比べ、低値群のオッズ比は、7.6と有意に高かった。さらに、Low-CRP群に比べHigh-およびmoderate-CRP群のMS出現のオッズ比は、それぞれ2.93(1.003-8.577)、5.333(1.621-17.548)と有意に高かった。しかしながら、これらの有意性は、BMIおよびVO_2maxを調節因子として加えると消失した。レプチン、アディポネクチン、A/L比およびCRPはMS発現の有意なバイオマーカーであったが、それらの関連性には肥満尺度(VFAやBMI)および持久性体力の関与が示唆された。対象者の高レプチン血症および低アディポネクチン血症が認められた。アディポネクチンとレプチンとのバランス(A/L比)が個々の単独指標よりもより有効な評価マーカーであった。このことからMS出現には、アディポサイトカインの調節異常が関与している可能性が示唆されたが、VO_2maxおよびVFAを調整すると、これらの有意性は全て消滅してしまった。したがってMS出現には、アディポサイトカインよりもVO_2maxおよびVFAにより強く関与している可能性が示唆された。しかしながら、本研究は横断的デザインであるため、これらの因果関係は明らかでない。さらに、CRP濃度が高いほどVO_2maxが有意に低いことが認められたが,VFAとの関連は示されなかった。加えて,CRP濃度が高いほど有意にMS出現を高めていたが、MS出現は、CRP濃度よりも持久性体力により強く関与している可能性が示唆された。CRP濃度とVO_2maxとの間に負の相関関係が認められたことから,VO_2maxの高いことがCRP濃度上昇を抑制し、同時にMS出現の抑制にも関連している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)