2004 Fiscal Year Annual Research Report
手賀沼水循環回復及び水質自然浄化に関わる地下水の役割
Project/Area Number |
16651004
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
唐 常源 千葉大学, 園芸学部, 教授 (80251198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐倉 保夫 千葉大学, 理学部, 教授 (70153947)
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Keywords | 流域の水循環 / 手賀沼 / 自然浄化 / 地下水と地表水の交流 / 都市化 / 水素、酸素同位体 |
Research Abstract |
本研究は、手賀沼を対象として地下水循環の正確な実態認識を達成するために、流域の地下水流動系実態を把握し、流域環境を改善する鍵の一つである流域自然浄化機能に重点を置き、地下水中での微生物および植物による浄化作用の実態と水文地質などの諸条件の定性・定量化、地下水流動系・汚染物質輸送経路と希釈効果の定量的評価などの基礎的知見を得るものである。これは従来の演繹的手法に偏る地下水保全策に対して、野外科学からの経験、知識をフィードバックさせ、総合的な観点から望ましい循環系の回復のための基礎的な知見を得ると共に地下水保全策を考えることを目的とする。 地域の土壌水、地下水、湧水の流出機構を明らかにするために、地域の水質分布および自然浄化プロセスが進行する場の条件、とくに地下の水文地質構造と地下水流動系の3次元的把握を試みた。また、都市化に伴う流域水循環への影響を調べるために、過去数十年にわたって、土地利用変化がなかった流域を設置し、比較研究を行った。 具体的に、選定された流域で、雨量計、地下水位観測用ピエゾメータを設置し、降雨、土壌水、地下水及び湧水の連続観測をした。さらに、沼の水、湧水及び地下水を採取し、主要化学成分及び酸素、水素の安定同位体を行う。 観測結果から、手賀沼地域では、過去数十年間の地下水揚水のため、沼への地下水流入量が著しく減少した。多くの地域において、むしろ沼の水が地下水へ涵養するようになり、流域の水循環経路が変化してしまった。このことは流域の自然浄化機能が低下していることを意味する。
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[Journal Article] Nitrate behaviors in groundwater of wetland at the headwater, Chiba, Japan.2004
Author(s)
Tang, C., Azuma, K., Iwami, Y., Ohji, B., Sakura, Y.
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Journal Title
Hydrological Processes Vol.18
Pages: 3159-3168