2004 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ骨格年輪からのメコン川の汚染史の解読法の確立
Project/Area Number |
16651005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北川 浩之 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (00234245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 浩之 東京大学, 原子核総合研究センター, 助教授 (60313194)
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Keywords | メコン川 / サンゴ / PIXY分析 / 水質汚染史 / 年輪 / 元素分析 / 同位体分析 / 東南アジア |
Research Abstract |
本研究では人間活動による水質汚染史の長期記録が残されていない、あるいは十分な水質観測が現在も行われていない東南アジア地域の水質汚染の実態把握に有効な方法の提案を目的とし、そのケーススタディとして、過去50年間のメコン川水質汚染史の解読を季節分解能で復元することを目標としている。今年度は、メコン川の水質汚染史が記録されている可能性がある、メコン川河口から約90kmの距離にあるコンダオ島(ベトナムの南部)で採集したサンゴ骨格に記録された人間活動に起因する元素の時代変化について、PIXY分析法を用い調べるための研究を行った。その結果については2つの論文として公表した。具体的には、サンゴの成長方向に沿ってSr/Ca比等をICP分析法で高分解能に求め、海水温の季節変動シグナルを解読し(Phong et al.印刷中)、サンゴ年輪の形成年代を正確に決定した。さらに、サンゴ年輪の炭素14濃度変化を詳細に分析し、核実験で放出された炭素14の濃度増加ピークのタイミングが記録された年輪を正確に求め、サンゴ骨格のSr/Ca比分析で決定されたサンゴ年輪編年の正確さを検証した(Phong et al.2004)。一方、PIXY法によるサンゴ試料に含まれる人間活動に関係する元素を定量的に分析するために必要な基礎実験を実施した。特に、PIXY法による多元素分析のための試料調整法の確立、PIXY分析の測定条件(パラメータ)の決定、PIXY分析計のステージ一部改良(他の研究グループと共同研究)、高精度PIXY分析のための問題点の検討を行った。次年度、今年度に得られた研究成果を、メコン川河口のコンダオ島及び近くに大河川が存在しないフッコク島(ベトナム南部)で採集したサンゴ試料に応用する予定である。
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Research Products
(2 results)