2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋溶存態有機物の生成への多核種観測法の適用の試み
Project/Area Number |
16651006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西田 民人 名古屋大学, 環境学研究科, 助手 (60313988)
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Keywords | 溶存有機物 / 有機地球化学 / 生物地球化学 / 海洋化学 / 物質循環 |
Research Abstract |
本研究では、多核種多次元核磁気共鳴法を用いて、分子レベル(官能基組成)で海洋に存在する溶存態有機物の生成速度を実験的に測定し、熱力学的解析(分子運動及び分子間相互作用)で海水中での動的挙動を推定することで、海洋における溶存態有機物の生成メカニズムを明らかにする。 本研究初年度である平成16年度は炭素・窒素安定同位体を添加しラベルした海洋表層有機物の海洋深層水への添加実験およびその分析条件の検討を行った。 申請者は平成16年11月から17年3月に東京大学海洋研究所所属白鳳丸による南西太平洋を対象海域とした研究航海に参加した。この航海において、添加実験を開始した。白鳳丸航海にて日本近海から南西太平洋の海洋表層から採取したプランクトンを含む有機物について安定同位体(^<13>C,^<15>N)を添加・培養し、安定同位体によりラベル化された有機物試料を得た。それぞれの海域において海洋深層水の採取を行い、ラベル化した海洋表層有機物を添加後、冷暗所に保存して実験を船上にて開始し、その後、途中経過を適宜、有機炭素計、高速液体クロマトグラフィーおよび同位体質量分析計を用いて、溶存態有機物とその生化学成分(脂質、糖、アミノ酸)の濃度、溶存態有機物全量の炭素・窒素安定同位体比のモニタリング用試料を採取した。現在、試料分析を行っている最中である。この分析により、海洋に存在する溶存態有機物の生成速度を推定するとともに、添加された安定同位体の溶存態有機物への移行の特徴、生成した溶存態有機物の物理化学的特性を明らかにする。またそれらの海域における異同を明らかにする予定である。
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