2004 Fiscal Year Annual Research Report
降雨にともなう微生物およびその遺伝子の移動に関する分子微生物生態学的研究
Project/Area Number |
16651013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 進康 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20252702)
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Keywords | 降雨 / 微生物 / 分子微生物生態学 / 遺伝子の移動 / 定量的PCR |
Research Abstract |
微生物はあらゆる環境に存在し,私たちを取り囲む大気中にも浮遊している.大気中に浮遊する微生物は風などの大気現象により受動的に,広範囲に拡散していくため,微生物を含めた様々な粒子が風に乗って国内に飛来してきていると考えられる.多量の微生物が移動している場合,これを検疫では対処できない微生物の越境問題として捉え,国内の生態系に与える影響を考えていく必要がある. そこで本研究では,大気現象による微生物の移動の現状を理解しそのリスクを評価するために,まず降雨とともに運ばれる微生物の現存量およびその生理活性(生死),群集構造を分子微生物生態学的手法を用いて明らかにすることを目的とする.本年度は降雨中の微生物を解析するための手法を検討した.さらに雨水中の細菌および真菌の現存量を測定するとともに,優占種の属種を明らかにした.以下に得られた結果をまとめた. 1)細菌の迅速定量のために,マイクロ流体デバイスを用いた新規手法を作成した. 2)雨水中の微生物の多くは今回用いた条件では培養困難であり,その定量および群集構造解析には,培養に依存しない手法が有効であった. 3)雨水中に存在する微生物として,細菌より真菌のほうが多く存在した. 4)落下してきた微生物には,人間に対して病原性を持つ細菌や,栽培作物に病害をもたらす真菌なども存在していた. 5)今回決定した手法を用いて,雨水中の微生物量や属種の季節変化を明らかにすることにより,大気現象によって運ばれる微生物の生態系への影響を考察できると考えられる.
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