2006 Fiscal Year Annual Research Report
放射線適応応答への放射線誘発バイスタンダー効果の寄与
Project/Area Number |
16651020
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
松本 英樹 福井大学, 医学部, 助教授 (40142377)
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Keywords | 放射線適応応答 / 放射線誘発バイスアンダー効果 / 放射線抵抗性 / p53 / 誘導型NO合成酵素 / NOラジカル |
Research Abstract |
1.低線量照射あるいは低線量率緩照射による放射線感受性の変化 正常型p53細胞(A172細胞)に低線量照射(0.02Gy)あるいは低線量率緩照射(0.01Gy/min,1.5Gy)を行った後に急照射を行うと,単に急照射を行う場合より放射線抵抗性を示した.これは低線量照射あるいは低線量率緩照射により適応応答が誘導されていることを示している.この適応応答の誘導はiNOS阻害剤あるいはNO消去剤により抑制された. 2.低線量率緩照射によるp53とHdm2の蓄積誘導変化 正常型p53細胞(A172細胞)に低線量率緩照射(0.01Gy/min,1.5Gy)を行った後に急照射を行うと,p53蓄積量の衰退およびp53のリン酸化の減弱が認められた.一方,p53の分解を促進するHdm2の蓄積誘導およびHdm2のセリン166のリン酸化が認められた。このことから,低線量率緩照射されるとHdm2が活性化され,p53の分解が促進されていることが、p53の不感の原因であることが示唆された. 3.低線量照射あるいは低線量率緩照射後の高線量率急照射によるiNOSの蓄積誘導 正常型p53細胞(A172細胞)に低線量照射(0.02Gy)あるいは低線量率緩照射(0.01Gy/min,1.5Gy)を行った後に急照射を行うと明らかなiNOSの蓄積誘導が認められた.またiNOSの蓄積誘導動態と一致して,正常型p53細胞の培養液中にコントロールレベルの2倍以上の亜硝酸塩の蓄積が認められた.これらのことから,低線量率緩照射されるとHdm2が活性化され,p53の分解が促進されて不感となることによりiNOSの転写誘導を抑制することができないため,後の高線量率急照射によってiNOSが蓄積誘導されて,NOが放出され,培養液中に亜硝酸塩が蓄積されたものと示唆された. 4.NO発生剤処理による放射線感受性の変化 正常型p53細胞(A172細胞)にNO発生剤(硝酸イソソルピド)処理を行った後に急照射を行うと,単に急照射を行う場合より放射線抵抗性を示した.これはNOラジカルにより適応応答が誘導されていることを示している.この適応応答の誘導はNO消去剤により抑制された.
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Enhancement of radiosensitivity by topoisomerase II inhibitor, amrubicin and amrubicinol, in human lung adenocarcinoma A549 cells and kinetics of apoptosis and necrosis induction.2006
Author(s)
Hayashi, S., Hatashita, M., Matsumoto, H., Shioura, H., Kitai, R., Kano, E.
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Journal Title
Int. J. Mol. Med. 18
Pages: 909-915
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