2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16651025
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小森 浩章 愛媛大学, 医学部, 助手 (30372725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能勢 眞人 愛媛大学, 医学部, 教授 (70030913)
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Keywords | 環境化学物質 / アレルギー / ゲノム解析 / 組換え近交系マウス / 砒素 |
Research Abstract |
近年増加しているアレルギー病態には環境化学物質の関与が考えられているが、その発症機構についてはほとんと明らかになっていない。これまでに申請者らは遺伝子多型に基づき、ゲノムレベルで発症機構を解明するため、アレルギー好発系MRL/lprマウスと嫌発系C3H/lprマウスの交配を通じて、アレルギー病態感受性遺伝子群を様々な組合せでもつ近交系マウス系統群(recombinant inbred strain, RI)MXH/lprを樹立した。このMXH/lpr各系統への環境化学物質投与により誘発される種々のアレルギー形質と各系統のゲノム多型情報を対比することによって環境化学物質によるアレルギー誘発機構をゲノムレベルで明らかにするべく解析を行った。 本研究では投与する環境化学物質として砒素を取り上げた。1)砒素(メタ亜砒酸ナトリウム)を高用量(報告されているマウス致死量の1/2量)投与した結果、砒素毒性高感受性の両親系統から作出された組換え近交系系統において、高感受性から抵抗性までの多彩な感受性が観察された。この結果は、砒素感受性が複数の遺伝子により規定されるpolygene系であることを強く示唆している。さらに、砒素抵抗性系統と両親系統との雑種F1を作製したところ、MRL系との雑種第一世代F1は砒素高感受性、C3H系とのF1は砒素抵抗性であり、砒素感受性遺伝子の主要なものは、MRL系alleleに由来する可能性が示唆された。2)砒素経口投与後の肝臓における砒素化合物重量を測定すると、系統毎に多様な砒素代謝能が観察され、砒素代謝能も複数の遺伝子の組合せに規定される形質であることが示唆された。3)砒素投与マウスの病理学的、細胞学的解析の結果、砒素投与マウスのリンパ組織でT細胞のアポトーシスが誘導されていることが明らかとなった。砒素が生体の免疫系に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)