2004 Fiscal Year Annual Research Report
フロン代替化合物1-ブロモプロパンの次世代健康への影響
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16651027
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
笛田 由紀子 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (10132482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保利 一 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (70140902)
粟生 修司 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 教授 (40150908)
福永 浩司 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90136721)
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Keywords | 1-ブロモプロパン / GABA抑制 / 海馬スライス標本 / リン酸化酵素活性 / 脳の性分化 / 臭素イオン |
Research Abstract |
【背景と目的】フロン代替化合物1-ブロモプロパン(以下1-BP)は中枢神経毒性が懸念されている。われわれは成獣ラットを用いて、1-BPを濃度200-1500ppmで長期吸入曝露すると、ラットの海馬に脱抑制が起こること、GABA放出量の低下を明らかにした。最近、脳の発達におけるGABA機能が注目されており、胎児への影響を明らかにするために胎児曝露を計画した。 【方法】妊娠雌性ラット(12週令,12匹)に1-BPを濃度700ppmで1日6時間、day1-20の20日間反復曝露した(day0は膣スメアに精子が観察された日)(保利)。対照群妊娠ラット(同週令,12匹)にはチャンバー内で新鮮空気を与えた。出産後、産仔数を雌4匹雄4匹に調節し、'一般成長の発達指標を観察した(笛田)。Day20〜出産後3日の母ラットの海馬スライス標本を作製し、CA1錐体細胞の刺激応答性とフィードバック抑制を電気生理学的に調べた。仔ラットについては一般成長指標(耳介展開、眼瞼開裂、精巣下降、膣開口)を調べた。6-8週令で海馬スライス標本を作製し、母ラット同様に神経興奮性を調べた(笛田)。胎児への曝露指標として臭素イオンを測定した。海馬CA1と歯状回におけるリン酸化酵素(CαMKIIα,β,PKC, MAPK等)を免疫blottingにより半定量した(福永)。行動試験として、オープンフィールド、高架十字迷路、受動的回避学習試験、強制水泳試験を実施した(粟生)。 【結果と考察】1-BPを吸入曝露した母ラット海馬CA1領域においては、興奮性の亢進と脱抑制がみとめられた。これは♂ラットで観察された現象と同様であった。臭素イオンは濃度依存性に胎児脳に移行していた。胎児曝露は産仔数、性比および一般成長指標いずれにも影響しなかった。仔ラットにおいては、成長後に興奮性が抑制されたがフィードバック抑制に変化はなかった。リン酸化酵素は歯状回において変動がみられた。行動試験では、オープンフィールド試験において雌の活動量と探索行動が低下したが、雄への影響はなかった。次年度は、初年度の結果を再確認すべく、性行動試験、組織形態学的検討を追加する。 【結論】1-BP胎児曝露は仔ラットの脳の性分化を攪乱することが示唆された。
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Research Products
(1 results)