2004 Fiscal Year Annual Research Report
栄養塩吸収特性が異なる植物種の組み合わせによる植生浄化技術の高度化
Project/Area Number |
16651031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 和典 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30292519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 修 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80208214)
野村 宗弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70359537)
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Keywords | 糸状藻類 / Spirogyra sp. / 植生浄化 / 窒素負荷速度 / リン負荷速度 / 栄養塩吸収能力 / 高度処理 / 水温 |
Research Abstract |
本研究は、これまで見落とされてきた糸状藻類Spirogyra sp.の有効性を発掘し、植生浄化水路において異なる栄養塩吸収特性を持つ植物種を組み合わせることの有用性および栄養塩吸収特性に基づいて植物の配置場所を最適化することの有用性を明らかにすることを目的としている.糸状藻類Spirogyra sp.の栄養塩の吸収に関する基礎的知見が見当たらないことから,初年度はSpirogyra sp.の栄養塩吸収特性を明らかにすることを計画した。単独培養したSpirogyra sp.を様々な栄養塩濃度条件および供給速度条件下で連続培養し、栄養塩除去能力について調べたところ,窒素負荷速度が0.1g-N/m^2/dayまでの範囲では,25℃の水温条件下では95%以上の窒素除去率を,12℃の水温条件下では80%程度の窒素除去率を期待できることが分かった.一方,リン負荷速度では0.039-P/m^2/dayまでの範囲では,25℃の水温条件下では95%以上のリン除去率を,12℃の水温条件下では90%程度のリン除去率を期待できることが分かった.これらの結果より,糸状藻類Spirogyra sp.の栄養塩吸収能力が特に低濃度条件下で優れていることを確認することができた.そして,植生浄化水路の下流部を本結果で明らかにしたレベルの栄養塩負荷条件に設定することができれば,そこにSpirogyra sp.を植栽することで植生浄化水路に高度処理機能を付加できることが示唆された.さらにSpirogyra sp.の25℃と12℃での栄養塩吸収能力にあまり差がないことが明らかとなり,水温を10℃程度以上に維持できれば季節によらず年間を通じてこれを利用できる可能性が示された.
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