2004 Fiscal Year Annual Research Report
精緻な階層的ナノ構造を持つ酸化物半導体超構造の合成と物性
Project/Area Number |
16651069
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大瀧 倫卓 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (50223847)
|
Keywords | 分子集合体鋳型 / 無機ナノ構造 / ナノ空間 / 人工超格子 / 自己組織化 / 酸化物半導体 / 自己集積 / 酸化鉄 |
Research Abstract |
界面活性剤分子が溶液中で自己集積した規則化ナノ空間構造を鋳型として、Fe_2O_3、TiO_2など種々の酸化物半導体の二次元層状ナノ超格子が溶液中で自己組織的に形成される条件を詳細に検討した。界面活性剤/金属比の制御や反応温度と時間、水熱処理条件等の選択により、酸化物半導体層の厚みが1〜2nm、繰り返し周期が4〜5nmの精緻なナノ超格子構造を再現性よく得ることができた。 Fe_2O_3の二次元ナノ超格子について、物理物性を種々検討した結果、拡散反射スペクトルから得られた光学バンドギャップはバルクのFe_2O_3より300nm以上もブルーシフトしており、量子閉じ込め効果によるバンドギャップエネルギーの理論計算から、閉じ込め領域のサイズは約1.5nmと見積もられた。また、吸収スペクトルには鋭い励起子ピークが観測されるが、励起子発光の可能性を検討した結果、77Kまでの低温測定では励起子吸収に対応する発光現象は観測されていない。 XAFS測定によるFe_2O_3層の局所構造解析の結果、Fe原子の局所構造はバルクのα-Fe_2O_3に類似していることから、Fe原子は3価イオンとして存在すると推測されるが、Kエッジ吸収端はさらに高エネルギー側にシフトしており、酸化物層内への強い閉じ込め効果が示唆される。 さらにこの酸化鉄ナノ超格子は、バルクの酸化鉄とは全く異なる磁気応答を示すことを見出した。磁化率の温度依存性は超常磁性的だが、xT曲線の解析からは反強磁性的相互作用の存在が明らかであり、さらに7K以下の低温では磁場下冷却(FC)とゼロ磁場下冷却(ZFC)の磁化率曲線が極めて急峻に分裂する。このことから、2次元的な酸化鉄層間において強磁性的相互作用が生き残っていると推測される。
|