2005 Fiscal Year Annual Research Report
精緻な階層的ナノ構造を持つ酸化物半導体超構造の合成と物性
Project/Area Number |
16651069
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大瀧 倫卓 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 助教授 (50223847)
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Keywords | 自己組織化 / 分子集合体鋳型 / ナノ物質 / 人工超格子 / 酸化物半導体 / ナノ空間規則性 / メタ磁性 / 励起子 |
Research Abstract |
本研究は、精微な空間規則性を持つ低次元酸化物半導体の超集積ネットワークを自己組織的に構築することを目的としている。平成17年度は本研究の最終年度であり、以下の研究成果を得た。 1)界面活性剤の二分子膜層状ミセルを鋳型とした酸化チタンや酸化鉄などの量子構造ナノ超格子を自己集積的に液相合成する際、液相反応における濃度や温度を適切に制御することが極めて重要であり、特に界面活性剤溶液と金属塩溶液の混合温度と引き続く熟成温度を70℃程度に精度良く保持することにより、酸化物半導体層の厚みが1.8nm、繰り返し周期が3.3nmで、極めて平坦性の高い精緻なナノ超格子構造が再現性よく得られることを明らかにした。 2)上記で得られた酸化鉄ナノ超格子は、低温でスピン相転移によると思われる特異な磁気特性を示す。透過型電子顕微鏡観察からは六方晶構造を持つα-Fe_2O_3の[001]反射とよく一致する六方対称の電子線回折パターンが得られ、さらに二次元ナノ超格子の層状構造に由来すると考えられる周期10Å程度の2回対称回折スポットが得られた。 3)酸化鉄ナノ超格子は静磁場下で磁場と垂直方向に選択配向することを見出した。また、この試料は室温付近では反強磁性的にふるまうことが分かった。これらの結果から、量子構造ナノ超格子中の酸化鉄層内には反強磁性的にスピン配向した磁気モーメントが内在し、これが外部磁場と相互作用することにより試料が選択配向したものと考えられる。 4)さらに上記の手法を酸化コバルトに拡張し、繰り返し周期2.9nmの層状構造を持つ酸化コバルトナノ超格子の自己集積合成に成功した。水熱処理により周期構造による回折線強度は著しく増大した。光学吸収スペクトルから試料中のCoはCo^<2+>と推測され、水熱処理後の磁化率はスピングラス的な温度依存性を示した。
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