2004 Fiscal Year Annual Research Report
環電流効果を利用した保磁力の大きな純有機ナノサイズ棒磁石の創成
Project/Area Number |
16651070
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉岡 直樹 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30222392)
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Keywords | 分子磁性体 / 安定有機ラジカル / 分岐型水素結合 / 強磁性 / 構造-磁性相関 / 積層カラム構造 / インドール / ニトロキシルラジカル |
Research Abstract |
平成16年度においては、水素結合連鎖間の配列様式が制御可能なラジカル誘導体の合成研究、構造-磁性相関を研究目的とした。具体的には、分岐水素結合により集積したナノ棒磁石どうしの配列様式を合成化学的に制御するために、インドールの5-または6-位に、イオン半径の異なるハロゲン(E, Cl, Br)を1つ導入した一連の誘導体を合成することができた。生成ラジカルの安定性が高く、様々な条件下で結晶を作成することが可能であった。 5F-および6F-体は、bemzimidazol-2-yl nitronyl nitroxyl (BIm-NN)と同様の機構で強磁性的相互作用を発現しナノ棒磁石としての特性を示した。一方、5Cl-、5Br-体は、溶媒分子を包接した2量体を形成し、2量体内では強い強磁性的相互作用が働いていた。6Cl-,6Br-体もBIm-NN類似の積層カラム構造を形成した。高温部の磁気特性もBIm-NNと酷似していたが、低温部ではメタ磁性体特有の磁場依存性を示した。さらに、ベンゾ環に導入されたハロゲン原子とニトロキシル酸素原子の接近が、磁気的相互作用の次元拡張に大きく影響することを計算化学的手法で明らかにすることができた。 以上のように、ハロゲン化インドール構造を有するNN誘導体を系統的に合成し、集積体形成にハロゲン原子導入位置が大きく影響すること、その効果は塩素、臭素の場合に顕著であることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)