Research Abstract |
前年度までに開発してきたデジタル信号処理のためのアルゴリズムの検証を行った。そのために,まず,日立製マイクロコンピュターH8を用いた信号処理のためのハードウェアを製作し,これを地震計と接続して,データを解析するためのシステムを構築した。地震計の出力は非常に微弱な信号で,直接,マイクロコンピュターのA/Dコンバータに入力する事ができないため,前段にシンプルなDCアンプをもうけた。安定した増幅が可能となるように低ノイズのOPアンプによる増幅回路を検討し,OPアンプの負帰還2段増幅回路とすることで,ある程度,安定した解析ができる事を確認した。また,地震計の自由振動やステップレスポンス以外の微動ノイズの影響を最小限とするためにフィルター回路を挿入した。これは緩やかなバタワース特性を有するアクティブフィルタとして回路からのノイズの影響を極力回避し,かつ,位相の乱れを少なくするように工夫した。 地震計のキャリブレーションを行うためには,振り子にインパルス応答をさせる必要があるが,マイクロコンピュターのD/Aコンバータを利用して適当な電圧の電流を地震計のコイルに流すようにした。ただし,このようにして得られる電圧変動は,厳密にはステップ型の電圧変化ではなく,電流が流れ出すまでに微妙な時間遅れが生じ,地震計の振り子のレスポンスが単純なステップレスポンスの理論通りではないことが明らかとなった。そこで,アルゴリズムを改良し,ステップレスポンスの形状にフィットするようなパラメータ探索を行うようにした。ただし,現時点では,マイクロコンピュターの制約により,浮動小数点演算ができないため,この部分の解析を外部の汎用CPUを利用して別に計算する必要がある。今後は,このような問題を解決し,リアルタイムの自動処理が可能なシステムの構築に向けたアルゴリズムの改良とシステムの開発を行う予定である。
|