2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16651105
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野路 征昭 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (80271534)
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Keywords | 硫黄同化 / システイン生合成 / セリンアセチル転移酵素 / ATPスルフリラーゼ |
Research Abstract |
植物の硫黄同化・システイン生合成経路は、複数の酵素ステップからなり、各酵素ステップには複数のアイソザイムが関与している。モデル植物シロイヌナズナの場合、硫黄同化の最初のステップを触媒するATPスルフリラーゼ(ATPS)については4つの、また、セリンとアセチルCoAから、システインの前駆体となるO-アセチルセリンを生成するセリンアセチル転移酵素(Serat)には5つのアイソフォームが存在している。我々はこれまでに、各ATPS,あるいは、Seratアイソフォーム遺伝子にT-DNAが挿入されたノックアウト変異体を単離し、遺伝子発現解析及び代謝物分析を行うことにより、各アイソフォーム遺伝子のシステイン生合成系における異なった役割を明らかにしようと試みている。今回、各Serat遺伝子の役割をさらに詳細に解析するため、細胞質、葉緑体、ミトコンドリアにそれぞれ局在している主要なアイソフォームSerat1;1、Serat2;1、Serat2;2の各変異体を交配した二重変異体(serat1;1serat2;1, serat1;1serat2;2, serat2;1serat2;2)を作出した。serat2;1serat2;2二重変異体の解析において、Serat3;2遺伝子の発現量の増加や、OAS、システイン、グルタチオン蓄積量の著しい減少が観察された。このような結果は、serat2;1またはserat2;2単独変異体では観察されなかった事から、Serat2;1及びSerat2;2は互いに機能を相補していることが示唆された。またこのように複数のアイソザイムが関与する反応系でメタボロミクス解析などを行うためには、1つの酵素遺伝子のみではなく、二重、三重といった複数の遺伝子を破壊した変異体を用いることが必要であると示唆された。
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