2004 Fiscal Year Annual Research Report
動物個体のリアルタイムイメージングを可能とする生物発光小分子プローブの創製
Project/Area Number |
16651106
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 泰照 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (20292956)
|
Keywords | 生物発光法 / 光誘起電子移動 / ルシフェリン / 論理的設計 / 蛍光エネルギー移動 / ルシフェラーゼ / 個体イメージング / TokyoGreen |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、光誘起電子移動(PeT)過程に基づく各種蛍光プローブの論理的な設計法を確立してきた。そこで本研究では、本設計法の適用対象を蛍光プローブから生物発光プローブに拡大し、in vivoでの個体イメージング技術として注目されているBioluminescence Imaging(BLI)による、様々な生体関連分子の生成、消去を個体レベルで非侵襲的に可視化するための小分子プローブを開発することを目的とした。初年度である本年はまず、蛍光・生物発光プローブ類の設計の際必須となる、消光過程としてのPeTのバラエティを広げる研究を行い、従来確立していた励起蛍光団が電子受容体として働くPeT過程(a-PeT)とは逆方向の電子移動(d-PeT)が起こりうることを見出し、これをJ.Am.Chem.Soc.(Ueno et al.)に報告した。本知見は、d-PeTによる蛍光団由来の蛍光強度の精密制御を可能とするものであり、従来不可能であった様々な生体関連分子に対する蛍光プローブ設計の実現可能性を飛躍的に増大させる画期的なものである。次に、本研究においてエネルギーアクセプターとして用いる蛍光団の1つであるフルオレセイン類の分子構造変換を目的とした研究を行い、19世紀に初めて合成されて以来全く試みられていなかった骨格変換に成功し、新規フルオレセイン誘導体(TokyoGreen類)の創製にも成功した(J.Am.Chem.Soc.(Urano et al.))。さてこれら両知見を生物発光プローブへと発展させるべく、ルシフェリン骨格のどの部位にエネルギーアクセプターを付与しうるかを次に検討した。その結果、ルシフェリン骨格の特定位置にアミノ基を導入し、さらにそこからリンカーを伸ばした構造としても、ルシフェラーゼの基質となりうること、またその発光波長は長波長化することが見出された。現在、さらに高い基質活性を実現する骨格を鋭意探索中である。
|