2005 Fiscal Year Annual Research Report
動物個体のリアルタイムイメージングを可能とする生物発光小分子プローブの創製
Project/Area Number |
16651106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 泰照 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (20292956)
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Keywords | 生物発光法 / 光誘起電子移動 / ルシフェリン / 論理的設計 / 蛍光エネルギー移動 / ルシフェラーゼ / 個体イメージング / TokyoGreen |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、光誘起電子移動(PeT)過程に基づく各種蛍光プローブの論理的な設計法を確立してきた。そこで本研究では、蛍光プローブ設計におけるPeTの概念が生物発光現象にも適用可能かどうかをまず検証し、その結果を活用して生物発光小分子プローブの論理的設計法を確立することを大きな目的とした。昨年度はエネルギー移動過程をルシフェリンに組み込むことが可能であることを明らかにすることに成功したが、本年度は同様の分子設計により電子移動ドナー部位を導入した種々のルシフェリン誘導体を設計・合成し、電子移動による生物発光特性制御が可能かどうか精査した。その結果、アミノルシフェリンのアミノ基に電子密度の高くないフェニルアルキル基を導入した誘導体では、ルシフェラーゼとの反応により600nmを越える長波長発光が観測される一方、高い電子密度を持つフェニル基を導入した誘導体は、ルシフェラーゼの基質として消費はされるものの、生物発光がほとんど見られなくなることが明らかとなった。これは、ルシフェリン誘導体の酸化により生成する発光体に対する電子移動(Bioluminescent enzyme induced electron transfer; BioLeT)が起こったためと考えられ、PeTと同様の概念による生物発光の制御が可能であることを示す世界で初めての知見である。さらに本知見を活用することで、生物発光制御部位の電子密度変化を利用した生物発光小分子プローブの論理的な設計・開発が可能となった。実際本設計概念に則り現在までに、高い酸化活性を持つ活性酸素種(hROS)を検知可能な生物発光プローブの開発に成功した。本プローブ自身はBioLeTにより生物発光がクエンチされているが、これがHRP-過酸化水素系などのhROSと反応することで、強い生物発光を示すように変化することが確認された。
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