2004 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気的メタン酸化能を有する微生物の探索とその生理学的特質の解明
Project/Area Number |
16651114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 正治 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30193262)
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Keywords | メタン / 微生物代謝 / 嫌気性細菌 |
Research Abstract |
研究代表者は、嫌気的メタン酸化能を有する「単一菌」の存在を推定し、メタンガス発生の多くのパーセンテージを占める水田環境に着目し、メタンガスをエネルギー源とし、硝酸塩を電子受容体とする微生物を探索した。その結果、目的とした代謝活性を有していると思われる単一菌(525W株)の分離に成功した。525W株は、その生化学的、さらには16S rDNA塩基配列解析などの分類学的性状からRhizobium属に属する細菌であることが示唆された。本菌は、メタン、水素の嫌気的気相下、硝酸塩が存在すると生育する。生育後には気相の水素量減少並びにメタン量減少が観察され、さらに気相への二酸化炭素生成も観察された。また、δ^<13>C測定結果から、ここで生成する二酸化炭素中の炭素はメタン由来であることも示され、メタンから二酸化炭素に至る代謝系が存在していることが示唆された。加えて、^<13>Cメタンを用いて本菌を培養した後の、菌体に取り込まれたδ^<13>Cの測定結果からも、本菌がメタンを嫌気的に代謝していることが示された。 また、メタンの代謝産物としては、ニトロメタンが検出されており、脱窒に伴い生成されるNOがメタンと反応して生じていることも考えられる。この他、メタン依存的なNADPHの減少や、メタン依存的なギ酸の減少、さらにはニトロメタン依存的なCOS生成なども観察されており、今後、これらの化合物を結ぶであろう代謝経路の解明に大いなる興味が持たれるところである。
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