2004 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー・バイアス超克のためのキァリア教育プログラム研究
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16651120
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 晃之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (50261219)
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Keywords | キャリア教育 / ジェンダー / 進路指導 / アメリカ教育 / 中等教育 |
Research Abstract |
研究期間3年の初年度に当たる平成16年度は、日米のキャリア教育プログラムにおけるジェンダーの位置づけとその教材化の解明を行った。 日本については、a)各都道府県レベルの教育センター紀要等に発表される進路指導の実践報告書、b)学校現場で使用される進路指導サブテキスト、c)教師向けに執筆された進路指導用参考図書の整理と分析を、アメリカについては、a)中等学校で使用されるキャリア教育用テキスト、b)関連する基礎研究・実践研究の整理・分析のほか、平成16年12月に実施したミズーリ州における実地調査、及び、全米キャリアテクニカル教育学会年次大会への参加によって実践の現状を明らかにした。 本年度の研究によって得られた結果の主要部分は以下の通りである。 日本では、中学校・高等学校それぞれにおいて、上級学校に進学すること、勤労者として働くことに対する支援カリキュラムが構築されてはいるものの、それらの実践が多くの学校でなされるための条件が整備されてはおらず、また、学校段階を超えた体系化についてはその立ち後れが顕著であった。さらに、今日の日本社会に顕在的にみられるジェンダー・バイアスについては、当為論としての男女平等への言及がなされるにとどまっており、キャリア教育の課題としては位置付いていない。 一方、アメリカでは、キャリア教育プログラムの中核に進学支援及び就業支援が位置づく点で日本と軌を一にしつつも、ジェンダー・バイアスや経済格差などの社会問題を視野におさめた実践の蓄積が見られた。特に、ジェンダー・バイアスの超克については、キャリア教育の主要課題としてカリキュラム化されており、連邦による推進施策を背景として、実践への幅広い応用が確認された。
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