2004 Fiscal Year Annual Research Report
インド・フェミニズム運動とダリット女性解放運動の連携と分断を巡る社会学的研究
Project/Area Number |
16651121
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
川野 有佳 城西国際大学, 国際文化教育センター, 研究員 (30337836)
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Keywords | ジェンダー研究 / インド / 国際情報交換 / 社会運動論 / 社会学 / 女性学 |
Research Abstract |
今年度の研究成果として、以下の点が挙げられる。まず、研究テーマに基づく先行研究を体系的理解することを目指した。つまり、(1)17世紀以降より今日までのインドにおける女性・フェミニズム運動について、基礎文献を整理しつつその系譜をたどった。また、(2)ダリットや非バラモン主導による解放運動について、歴史的背景や大まかな流れを把握した。個々の事例については、今後も引き続き考察していく予定である。また、(3)ダリット女性による自発的な運動やのちのダリット・フェミニズムの興隆について把握し、ダリット女性の位置づけを再確認した。また、現在展開されているダリット主導およびダリット女性主導による運動の状況や、ダリット女性といわゆる"主流派"フェミニストを巡る主として1995年以降の議論について考察した。そこから浮かび上がるダリットと"主流派"フェミニスト両者の意見の相違点、矛盾点については、初期段階ではあるものの論文にまとめ、2004年11月開催の会議で報告した。今後も、特に具体的な事例を挙げながらその分析をすすめる。 また、今年度は、先行研究と平行して南インドを中心に事前調査をおこなった(タミルナドゥ州チェンナイ、ケララ州トリバンドラム、他)。各地で得た史資料や関連図書、公刊資料を収集・分析すると共に、フェミニストや女性運動家、開発関係者や研究者らと積極的に会い、インドにおけるジェンダーやカーストその他を巡る運動について、聞き取り調査をおこなった。特にジェンダーやカーストその他の差異が交差する場面にみられる双方の意見の相違や対立について、様々な人と意見交換しながら、本研究の仮説や方向性の若干の見直しもおこなった。以上の成果を踏まえて、引き続き現地調査を実施し、資料・データ収集やその分析をおこなっていく予定である。
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