2004 Fiscal Year Annual Research Report
植民地時代の朝鮮仏教に対する日本仏教の影響‐釈迦降誕節・花祭り・仏教民俗学‐
Project/Area Number |
16652006
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
片 茂永 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (40373063)
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Keywords | 釈迦降誕節 / 花祭り / 浴仏 / 提燈行列 / 燃灯 / 甘茶 / 花徽章 / 花祭りの歌 |
Research Abstract |
戦前の東アジアにおける社会・文化・国際情勢等に対する再検討が問われる昨今、特に当研究では、植民地朝鮮の仏教と日本との関わりに焦点を絞り、そこから判る諸問題の有り様を明らかにするのが狙いなのである。なかでも、内鮮一体や東亜連盟体具現のために常に街頭・広場・群衆の前に追い出された釈迦降誕節には、総督府と朝鮮人との接点がありありと思い浮かぶ。ところがよく見ればそれは、伊藤博文からなる明治の帝国憲法上で位置づけられた日本仏教の精神そのもので、朝鮮人とのあいだでみられた接点も本当は‘東亜'からみれば僅かな部分にすぎず、東亜という全体から日本仏教、つまり釈迦降誕節の花祭りを考えなければならない。 東亜構築のための精神的な一軸としてなぜ釈迦降誕節が選ばれたのかは、キリスト文明の欧米を強く意識した外在的な理由もあるだろうが、仏教が東亜の精神的な柱であり続けてきたという内在的な理由も十分ある。この両理由から、釈迦降誕節の花祭りはまず日本で、明治から大正にわたり、諸形式が規定され統一された。それから朝鮮では大正から昭和にかけて花祭りが波及され今日に至るわけだが、その痕跡は意外と色ごく残っていて、現在の韓国の仏教、つまり初八日儀礼の重要な部分をなしているほどである。終戦とともに日本における花祭りが急激に冷めた事実とは裏腹に、なぜ韓国には花祭りの要素がこれほど多く残っているのかには謎も多い。その謎を解くべく、今の韓国の寺寺を訪問し聞き書きに臨んだ。聞き書きは、釈迦降誕節における浴仏・提燈行列・花徽章・畳み込み式燃灯・式典行事・花祭りの歌等が中心だったが、今後の調査も引き続き予定している。
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