2004 Fiscal Year Annual Research Report
民族音楽調査団の結成とその調査活動を辿る-民族音楽学者黒澤隆朝との関わりを焦点に
Project/Area Number |
16652011
|
Research Institution | Shikoku Gakuin University |
Principal Investigator |
劉 麟玉 四国学院大学, 文学部, 助教授 (40299350)
|
Keywords | 黒澤隆朝 / 植民地台湾 / 民族音楽 / 民族音楽調査団 |
Research Abstract |
今年度は主に資料調査と資料整理を中心に行なってきた。民族音楽調査団の結成は当時の社会状況や音楽界の動きと関わっており,当時の雑誌・新聞で紹介された可能性が高いと考えられる。そこで戦前発行された音楽雑誌や音楽新聞の記事を中心に調査を進めた。調査には戦前の日本音楽雑誌をほぼ完全に揃えている国立音楽大学付属図書館を利用した。また,今年度精査した資料は『音楽公論』(1941年11月〜1943年10月),『音楽文化』(1943年12月〜1944年11月),『旬刊 音楽文化新聞』(1941年11月〜1943年9月),『音楽新潮』(〜1941年6月),『音楽之友』(〜1943年10月)の5種類で,調べた記事はすべてデータ化した。それらの雑誌・新聞記事の中からは,いまだ決定的なものは見つかっていないが,今回の調査目的に極めて関連性が高いと思われる記事を入手することができた。それらは,黒澤隆朝が台湾の音楽調査を行う以前,音楽教育の分野からアジア音楽へと関心を移した後の彼の動きや,戦時中の「大東亜共栄圏」の音楽文化をめぐる彼の議論など,黒澤のアジア音楽への興味や音楽界の戦時体制への関心を示すものである。また,黒澤が桝源次郎とともに座談会に出席した記録もあり,二人の協力関係が築かれた時期を推測することができた。しかし,本研究の主な目的である民族音楽調査団の結成経緯に関しては,民族音楽調査団の記事は見つかったものの,結成の経緯についての詳細は記述されておらず,更なる資料調査を行う必要がある。来年度の調査では,音楽雑誌の記事だけではなく,一般雑誌や新聞記事も調査の視野に入れる予定である。地道な作業ではあるが,本研究の課題をクリアするためには不可欠な作業であると考えている。
|
Research Products
(1 results)