2004 Fiscal Year Annual Research Report
王政復古期散文からみる17世紀イギリスの社会変化と文学の関係についての研究
Project/Area Number |
16652024
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
高野 美千代 山梨県立大学, 国際政策学部, 助教授 (10289811)
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Keywords | ロバート・ワイルド / トマス・トラハーン / 王政復古期英文学 / ジョン・イーヴリン |
Research Abstract |
平成16年度は夏期及び春期の2度にわたってイギリスにおいて文献調査・収集を行なった。ブリティッシュライブラリーを中心とした調査とヨーク大学グレアム・パリー博士との研究に関する面談、さらにブックフェアーや稀覯本店における文献収集を実施した。具体的研究内容としては、まず、ブリティッシュライブラリー所蔵の文献であるトマス・トラハーンの作品Roman Forgeries (1675)およびロバート・ワイルドの作品を収めたRome Rhymed to Death (1683)などから王政復古期の宗教的、社会的エソスを読み取る試みを始めた。それと同時に王政復古期を代表する諷刺詩人であり、王政復古期英国の社会像を作品に記録したロバート・ワイルドについて、この研究に先んじて行なってきた自らの事前研究を発展させる形で再検討し、英語論文にまとめた。これについてはイギリスヨーク大学教授グレアム・パリー博士から高い評価を得た。さらにこの研究を続行し次回のイギリスダラム大学17世紀研究所第11回国際学会において発表したいと考えている。 この研究の重要な柱である王政復古期の散文研究に関しては、特にその中心的な題材をジョン・イーヴリンに求める方向で研究を進めている。日本においてジョン・イーヴリンはまだほとんど研究が行なわれていない。しかしながら、彼は王政復古期イギリスの知的、社会的、政治的、宗教的中心にあった人物であり、彼の日記は当時のイギリスについてまさに幅広く内容豊かにそして緻密に記録したものである。さらにイーヴリンは自然界への多大なる関心を散文作品Silvaにおいて表している。イーヴリンは王政復古期イギリスの中核にあったと言うことができ、したがってその記述に関する研究もイギリスの社会変化を知る上で大いに有効である。平成16年度後半以降はイーヴリンのDiaryとSilvaの精読に従事している。
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